食堂「6Q」の店構え
まいどー、浪速のおっさんでーす。みんな久しぶり。ご機嫌さんでおったか?
今日は関西学院近くにある食堂「6Q」(ロッキュー)を紹介する。ラグビー部御用達や。
日々活動している第2フィールドの隣、スポーツセンターの入り口を左に出て、200メートルほど行った左手にある。
この店のオーナーシェフは学生にとって神さま、仏さま、稲尾さま…。
もとい、松根貴宏さまや。
なんで生きてはんのに神さん扱い?
見てみいや。メインは豚キムチ、サブは豚の生姜焼き、春雨の中華風サラダと生野菜がワンプレートに載る。おかず2品の選択は自由や。鶏、牛肉メニューもある。
そこに味噌汁。さらにラグビー部は納豆か生卵がサービスでつく。白いごはんは食べ放題でっせ。これでなんと580円ですよ。
ええーっ、まじっすか、よこすか。
サブを外したメインだけなら470円。そこに最大49枚つづりのチケットを買ったら、427円まで値段は下がるで。
まるで夢のようです。
松根はんは少しでも安い食材を仕入れるため、隣町のアマ(尼崎)まで買い付けに走ってはるんや。
「こんな値段でやっていけまんのか?」
「しんどいっす。正直、まったくもうかりません。まあでも、学生は4年間来てくれる中で、成長していく姿を見られるのがおもしろいし、しゃべっとったら楽しいですしねえ。お金には代えらへんよろこびがありますよ」
HOの岡部崇人君の実家は奈良の天理や。当然下宿生。ヘビーユーザーやで。
「なんでも美味しいし、ご飯は食べ放題やし、下宿生のふところにとっても優しいんですよ。ありがたいですね。僕は鶏肉が好きなんで、ねぎ塩焼きなんかをよくたのみます」
彼の当たりの強さは関西指折りや。就職はトップリーグチームから内定が出とる。
ってことは6Qは「トップリーガー養成食堂」とも言えるわなあ。
「僕のごはんで彼らの体がでけて、グラウンドに立ってくれている、と思うとうれしくって。だから、負けたら悔しいし、責任を感じてしまいます」
松根さんは大阪府立八尾高校、京都工芸繊維大学のラグビー部OBやけど、母校よりも関学を愛してしまってはる。
現金の持ち合わせがない学生には、皿洗いなんかでチャラにする時もある。
どんだけええ人やねーん。
この地に開店したのは2013年。八尾高で同期やった萩井好次はんのすすめや。
「以前は洋菓子を作って、売ってたんですが、仕事を変えてカフェをしようと思ったんです。そうしたら話が来たんです」
当時の関学の監督やった萩井はんは言う。
「関学はラグビー部寮がないから、生活コストが高い。それを低く抑えて、さらに体作りも考えた食堂を考えてくれへんか?」
「それって、やれってことやろ? おまえに言われたら、やらなしゃーないなー。高校の時から一緒やしなあ」
ラグビーで育まれた友情でそこまでやる? しかも、破産ありのビジネスの世界で、ラグビー特有の「自己犠牲の精神」を具体的に見せるやなんて…。すっ、すごい。
かくして6Qが誕生する。
「店名はお店に必要な6つのQから取りました。Quality(質)、Quantity(量)、Quick(早い)などですね。でも萩井には、1人でやるからQuickは無理やで、と言いました」
もともと、学生時代から飲食のアルバイト経験が豊富で、さらに実家は大阪市内でそば屋をやってはる。手伝いは経験済み。パティシエあがりとはいえ、定食系はお手のものや。
またたく間に5年目に突入だ。
ところで、萩井はんは母校の同志社大学に戻ってしもた。今年から監督やね。
「よかったと思います。同志社が強くないと関西の大学ラグビーは盛り上がらん。あいつには同志社を強くしてもらって、それに勝つように関学も頑張ってほしい」
松根はんは、8歳を頭に3人の子持ちや。明日香夫人は家計の足しになるように看護師として働いたはる。亭主を支えるええ嫁や。
6Qは利益がめっちゃ薄いから、多売でいかなあかんねん。練習や試合で上ヶ原に行った人たちもみんな、行ったりよ。
ほんま、たのむし。
【食堂 6Q】
■住所: 〒662−0893 兵庫県西宮市上ヶ原三番町5−53 北側
■電話番号: 0798−20−7952
■営業時間: 11時45分〜14時30分、18時〜21時30分(最後の入店時間、ラグビー部は時間を過ぎても入れまっせー)
※ 定休日: 日、祝日
※ 席数: 1、2階合わせて50くらい。みんな体育座りしてつめたらもっといける。
豚キムチ、豚しょうが焼きがのったワンプレート。これで580円
6Qのオーナーシェフ・松根貴宏さん。着ている赤のランニングは
所属しているビーチラグビーチーム「蒐英(しゅうえい)40S」のもの