ラグビーリパブリック

サンウルブズ 南米で奮闘するもジャガーズに惜敗… 終盤連続失点で逆転負け

2017.05.07

アグスティン・クレーヴィーにタックルされながらも前進を試みるヘル ウヴェ(Photo: Getty Images)

 ジャガーズの本拠地であるアルゼンチンのブエノスアイレスに乗り込み、アウェイのプレッシャーにひるむことなく勇敢に戦った日本のサンウルブズだが、ワールドカップ4強入りを果たしたメンバー14人を含む代表経験者22人をそろえてきた相手に、39−46で惜敗した。
 両チーム合わせて12トライが生まれる点の取り合いとなり、70分(後半30分)までリードしていたサンウルブズだったが、終盤に連続トライを許し、逆転負けを喫した。
 エスタディオ・ホセ・アマルフィターニで、日本時間7日早朝におこなわれたこの試合。
 サンウルブズは前半1分、自陣でのスクラムからループを使って左へ展開し、FB松島幸太朗がキックしたボールをWTB福岡堅樹が確保してインサイドのCTBウィリアム・トゥポウにつなぎ、先制した。
 一方、1年前に東京・秩父宮ラグビー場で敗れ雪辱に燃えていたジャガーズは、PGで得点したあとの8分、SOフアン・マルティン・エルナンデスがFLトマス・レザーナとのコンビネーションでゴールに迫り、ブレイクダウン後、ボールをピックアップしたNO8レオナルド・セナトーレがインゴールに押さえ、逆転した。
 しかしサンウルブズは17分、ボールアウトにPR山路泰生がいち早く反応して攻撃に転じ、FB松島のゲインもあって敵陣22メートルライン付近まで上がると、右への展開からNO8ヴィリー・ブリッツが切り込んでオフロードで大外のWTB江見翔太につなぎ、トライが生まれた。22分にPGで3点を追加。
 その後、ジャガーズにキックカウンターからつながれ同点とされたサンウルブズだったが、PGで勝ち越し、37分には相手が落としたボールをSO田村優が確保してゴールへ走り切り、大きな追加点を挙げた。
 だがハーフタイム前、ラインアウトからモールでゴールに迫ったジャガーズに対し、サンウルブズは故意に崩したとしてペナルティトライを宣告され、さらにLOサム・ワイクスにイエローカードが出て、25−22とリードしながらも嫌な流れで折り返した。
 数的不利で後半を迎えたサンウルブズ。立ち上がりから自陣深くで苦しい時間帯が続き、LOヘル ウヴェのラインアウトスチール、FLラーボニ・ウォーレンボスアヤコのブレイクダウンでのターンオーバー、NO8ブリッツのトライセービングタックルなどで耐えたものの、51分、ラインアウトからモールで押し込まれ、ゲームをひっくり返された。
 しかし、簡単には屈しないサンウルブズは54分、NO8ブリッツが突破してSO田村につなぎ、トライで再逆転。59分にはLOウヴェが力強い突進でゴールに迫ると、すばやいリサイクルからLOワイクスがインゴールに押さえ、39−27とリードを広げた。
 が、ホームで負けられないジャガーズは66分、フレッシュレッグのLOマティアス・アレマーノがディフェンダーを振り払ってトライを決め、71分には得意のラインアウトモールで同点とした。
 そして74分、ジャガーズはハーフウェイ付近でアドバンテージをもらうと、SOホアキン・ディアス・ボニーラがキックを使い、相手に当たって跳ね返ったボールを確保して中央を大きくゲイン、サポートランナーが次々とつなぎ、決勝トライが生まれた。
 7点を追うサンウルブズは終盤に敵陣深くへ入り、残り時間1分を切ってからゴール前中央でペナルティを得、タップから攻めたものの、ノックオンで途切れ、惜しいゲームを落とした。
 サンウルブズはこれで1勝9敗(勝点7)、ジャガーズは5勝5敗(勝点24)となった
 4週間のタフな海外遠征を終えるサンウルブズは次週は休みとなり、そのあと、5月20日にセカンドホームのシンガポールでシャークスと対戦する。
<サンウルブズ ヘッドコーチ・選手 コメント>
■フィロ・ティアティア ヘッドコーチ
 大変いい接戦になりました。どちらのチームが勝利してもおかしくない試合だったと思います。後半は怪我人が出てしまい、選手を交替しなければならず、また、試合展開として相手に得点の部分で追いつかなければいけない展開となり、非常に苦しい戦いとなりました。
 強豪ニュージ―ランドとの3連戦の後、アルゼンチンに移動してくるという日程は、他のチームにない大変厳しいものでしたが、そのような環境のなかでも、今日の試合ではいいプレーがたくさん見られました。このツアーを通してチームとして向上ができたと思います。
■ティモシー・ラファエレ ゲームキャプテン
 かなりしっかり相手チームを研究して準備して挑んだので、前半は特に自分たちのプレーを実行できたと思います。最後の20分でそのプレーを実行できなかったことが残念です。ジャガーズはとてもフィジカルなチームでした。我々はスピードを活かして相手をかわすゲームプランでしたが、後半、フィジカル重視の相手のゲーム運びを受けてしまい、逆転されてしまいました。
 今回のツアーでは、ニュージーランド最初の試合は大差で負けてしまいましたが、以降の試合では毎試合向上し、チーフス戦ではとても良い試合をしました。今シーズン、これまでの試合でも、何試合かはクロスゲームで、試合後半に盛り返した試合もありました。我々はこれらの試合からしっかり学び、毎試合、向上していくことを目指しています。
■庭井祐輔
 悔しい、の一言です。試合運びとしてはいい展開だったと思いますが、連続でトライをとられてしまった時間帯に、我慢しきれなかったところが敗因のひとつだと思います。相手のフォワードの印象は、スクラムを組んでいる時は、いけるなという感覚がありました。
 フィールドプレーでも、自分たちのプレッシャーのかけ方をすれば問題なかったのですが、後半に入ってから、だんだんと相手のボールキャリーのところで前に出られ、自分たちの前に上がるディフェンスができない状況を作らせてしまった。相手の強みを出させて勢いづけてしまったところも敗因。自陣での反則が多く、修正しなければいけない。
■江見翔太
 最後は気持ちの部分で負けてしまいました。
(後半失速した印象もありますがという問いに)相手のディフェンスの勢いが強かったです。また、オフロードをつながれてゲインされ、こちらもオフサイドだったりラック周辺でのペナルティだったり、またゲインされたりで、本当にそこの部分だと思います。そこを修正できればもっといい試合ができたと思いますし、間違いなく勝てた試合だったと思います。
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