好タックルを決める佐藤弘樹。(撮影/松本かおり)
選手名鑑に載る体のサイズでは分からぬことや、代表歴や経歴からは見えないことはたくさんある。多くの人たちが見たり、知っていることは、この国のラグビーのほんの一部。ラグビーの現場で発見があった時、そう感じることは少なくないだろう。
4月26日におこなわれたトップリーガー発掘プロジェクト2017。トップリーグで即戦力として活躍できるかどうかは別として、そこには磨けば光る原石と、意欲にあふれる若者が何人もいた。
同日の午後におこなわれた試合形式のトライアル。試合が始まってすぐに強い光を放ったのが青いジャージーの8番だった。
佐藤弘樹(さとう・こうき)。札幌大学の4年生だ。近鉄ライナーズでプレーしていた袋井隆史監督にすすめられて、東京は町田市のキヤノンスポーツパークにやって来た。いきなりスピードある走りを爆発させ、トライを奪った。チームではデイフェンスリーダーを務めている。思いきりタックルもした。その動きをメモした各チームの採用担当者は、何人かいたはずだ。
177センチ、94キロ。中学までは野球部。青森北高校でラグビーと出会い、高校2年時、3年時と花園に出場した。札幌大学に進学し、経済学部に学んでいる。
「TEAM LEONIS」と名乗る大学ラグビー部では、NO8を中心にバックローとして存在感を示し、攻守で前へ出る。地域では北海道大学の壁をなかなか破れないけれど、昨季は全国地区対抗大学大会に出場して1回戦で新潟大学に勝った。その試合では自分もトライを決めた。
故郷を離れての暮らしのため、チェーン店の「かつや」でアルバイトをすることもあるが、仲間とともにラグビー・ファーストの生活を送っている。
高いステージでプレーすることを求めて参加したトライアウト。自分と同じ熱を持って全国から集った選手たちの中でのプレーが心地よかった。
「普段プレーしているレベルより高い中に身を置けて、やりやすい。そんな感じでした」
強みは出せた。
「ただ、試合は正月(全国地区対抗大学大会)からやっていなかった。3か月ぶりだったので、スタミナが持たなかったですね」
それでも、先制パンチが頭に残っているリクルーターは多いはずだ。
高校の2年先輩にあたる藤田貴大に憧れる。東海大で主将を務め、現在は東芝ブレイブルーパス所属。気合いと破壊力満点のタックルを武器とする人だ。
「戦いたいというより、一緒にプレーしたい」
頭には、憧れの先輩も大学時代に被っていた、青北カラーのヘッドキャップがあった。