ブラジル戦でトライを決める桑井亜乃。サクラセブンズは2トライを
奪うも…。(撮影/松本かおり)
あらためて現在地を知った。
4月23日、HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ北九州大会の2日目がおこなわれた。初日に3戦全敗、プールAで最下位(4位)となったサクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)は9位以下の順位を決めるチャレンジトロフィーに登場。スペインに5-14、ブラジルに10-12で敗れてこの日も全敗となり、12チーム中最下位で大会を終えた。
スコアが示すように、前日の反省からディフェンスを修正した。失点が減ったのは、幅を広くとったポジショニングでスペースを埋め、前へプレッシャーをかけるプランを実行できたからだ。前日は相手のスピードを恐れ、外側のプレ−ヤーが前に出られなかった。そこを改善した。
しかし前日同様、なかなか得点を重ねられなかった。接点でもつなぐ。その新しいスタイルを初日の序盤は実行できていたのに、試合を重ねるごとに頻度が少なくなった。ボールキャリアーの判断と、サポートにつく者の判断が一致しなかった。
「誰が攻めると分かっていたらサポートにもつけるのですが、(ボール保持者が)ここで前へ出ると思ったときにその選手が出ず、他の人が攻めるケースがある。そんなときにサポートが遅れたと思います。ベストのタイミングでないときのアタックについていけなかった」
そう話した中村知春は多くの経験を積んできた者として、「世界ではひとつのミスが大きく響く。それを(若いチームが)受け止められるか、(けいけんある選手たちが)受け止めさせられるかが大事」と言った。
前日に戦った世界の上位チームよりは、ランキングが下のこの日の相手。それでもコアチームとして世界で戦い続けている国は手強かった。2週間前に戦ったコアチームと比べ、スピードもフィジカルも上だ。
「肩のまわりの疲労感が違う」
山中美緒主将は2日間の戦いを終えての体感をそう話した。
「ベスト8に入るつもりでここに来て、それが初日にダメになった。2日目は初戦が大事と言っていましたが、そこで負けた後、気持ちを切り替えられなかった」
心身ともにもっとタフにならなければ。
稲田仁ヘッドコーチは前を向いた。
「いまやろうとしているスタイルを継続していくためには、フィジカルを強くすることも含め、やらなければいけないことがたくさんありますがチャレンジしていきたい。世界レベルでは、自分たちは12位ということをあらためて分かることができた。下を向かず、これからも(先へ進む)準備を進めていきたい」
サクラセブンズは来季のコアチームに昇格したこともあり、6月24日、25日におこなわれるフランス大会(クレルモンフェラン)に招待国として参加できることになった。その時までに、北九州で露わになった足りない点をひとつでも多くなくしたい。
大会のフィナーレを飾るカップ決勝ではニュージーランドが激戦を制した。カナダに17-14と勝った試合は、フルタイムを知らせるブザーが鳴った後にミカエル・ブライドがインゴール右スミに飛び込んだもの。2016-2017シリーズ3度目の優勝と、今年から3年間の開催が約束されている北九州大会での初代女王の称号を手に入れた。
優勝のニュージーランド。アラン・バンティング ヘッドコーチは
「最後は気合い」。(撮影/松本かおり)