ラグビーリパブリック

これが世界か…。サクラセブンズ片鱗示すも、WRセブンズシリーズ初日全敗。

2017.04.22
ロシア戦、フランス戦と、計2トライを上げた堤ほの花。
(撮影/松本かおり)
 2週間前に香港スタジアムでコアチーム昇格大会を勝ち抜いた時と比べ、パフォーマンスが悪かったのか?
 そんなことはない。対戦相手のレベルが格段に上がったから思うように攻撃を完結できず、失点を重ねた。4月22日から始まったHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ北九州大会の初日、サクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)は3戦全敗だった。プールAの4位となり、明日の初戦はチャレンジトロフィー(9位以下)準決勝でスペインと戦う。
 ニュージーランドに0-31、ロシアに5-29、フランスに7-33と敗れた3試合。内容は共通していた。思うようなアタックができたときには相手のジャージーの色に関係なく通じる。しかし、その確率が低い。ターンオーバーや反則から攻められ、防御裏に出られたらいっきに走り切られた。
 1月から準備を重ねて香港で花開いた攻撃は、この日もたびたびスタンドを沸かせた。接点でラックを作らず、ボールを動かし続けるアタックは、ニュージーランドを振り回す時間帯も。ただ、この試合ではトライラインに届かなかった。
「やろうとしたブレイクダウンを作らずにつなぐアタックをやれたときもあったが、香港のときと違うのは、相手ディフェンスの2人目の早さ。それでマイボールをキープできなかった」
 稲田仁HC代行のレビューだ。「ボールを手にできているときはいいのだけど」という言葉は、3試合を通じての体感だった。
 この日のベストトライはロシア戦で挙げたものだ。後半開始30秒。サクラセブンズはPKから速攻を仕掛け、清水麻有が空いた右サイドへ走った。サポートについた堤ほの花につなぎ、インゴールに入る。ボールが動かせているときはサクラセブンズの時間。HC代行は、「ボールキャリアーがもう少し立っていられると(狙い通りに)うまくいきそうなのですが」と修正点を口にした。
 堤はフランス戦の後半6分過ぎにもトライを奪った。そのときは防御をいなした後に急加速。50?以上を走り切った。
「周りの選手が前に出てくれたので、いい間合いでボールをもらえました」
 ディフェンスは「幅をとってポジショニングしてスペースを埋めつつ、前へハイプレス」とプランを立てたが、圧力を強くかけられず、突破されるシーンが目立った。
「香港では前へ出たときに相手がミスをしてくれたのですが」(HC代行)
 アタックでは何度も防御ラインをブレイクしたが、守りには苦労した清水は言った。
「アウトサイドを前に出そうと言っていたのですが、相手のスピードを恐れてそれができなかった」
 全敗も、抗う時間は少なくなかった初日。下を向く必要はない内容に、リオ五輪を経験している山中美緒主将、桑井亜乃のふたりは、南米での大舞台のときとの違いをこう口にした。
「やっているラグビーも変わりました。リオでは何もやらせてもらえない感じでしたけど、きょうはやりたいことを出せた時間があったぶん手応えはあった」
 2日目はその感触を勝利に結びつけたい。
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