早大、慶大、明大の3チームの現役選手と卒業生が集まる『オール早慶明三大学ラグビー 東日本大震災復興支援チャリティーマッチ 2017』が4月16日、東京・秩父宮ラグビー場であり、今季限りで引退するOBを含めた三つ巴戦、日本代表選手のサイン入りグッズなどのチャリティーオークション、ファンを交えたアフターマッチファンクションなどがおこなわれた。
スコアは全早大×全明大が19−19、全慶大×全早大が14−10、全明大×全慶大が14−10。1勝1分けに終わった明大では、昨季の全国高校ラグビー大会で優勝した東福岡高の主将、箸本龍雅がLOとして全慶大戦に先発。全早大戦のWTBでは北条高(愛媛)を出たばかりのウィリアムズ海が出場するなど、計6名の新人が登録された。
優勝した9日の第18回東日本大学セブンズ大会でも、深谷高(埼玉)出身の山沢京平ら3名のルーキーがグラウンドに立った。丹羽政彦監督は「短い練習期間のなかでも頑張っていたし、フィジカル面でもやれているから」とその意図を説明。高校日本代表の主将にもなった箸本については、これまでの本職だったLOをはじめ多様なポジションでの活躍が期待される。指揮官は「走れるので、将来的に世界で戦うにはオープンサイドFLも…と思いますが、いまは地道にきついこと(LO)をやらせています」とも続けた。
2003年度に明大を卒業した中部電力の河野晴吾は、引退試合としてプレーした全早大戦で主将を務めた。試合後はスピーチを求められ、被災地の東北地方へ出向いた経験から「まだ、復興はしていません。少しでもいいので、復興のために支援していただければ」と強調した。
全早大で今季限りのリタイアを決めた1人は、菅野朋幸。背番号14をつけ全試合に出場し、「最後にワセダのジャージィを着られて、感無量です」と笑顔を浮かべる。大学卒業後に入った釜石シーウェイブスでは、震災を受けて約2か月の活動休止も経験。「ラグビーができることに喜びを感じながら頑張っていただけたら」と現役選手にエールを送った。
全慶大では、2010年度卒で日本ラグビー選手会理事の和田拓がキヤノンでの現役生活を終えた。全明大戦でFBを務め、「楽しかったですよ、めちゃめちゃ。きつかったですけど、ラグビーの醍醐味であるボールを回すことができたかな」と笑顔。「東北へ行ったり、他のチームの人と活動したり、グラウンドにいるだけじゃわからない部分も知れた。それだけでも、僕の考えが広げられた」とこれまでを振り返った。今後は所属先のチームのマネジメントに携われるよう、研鑽を積む。
(文:向 風見也)