ブルズ戦勝利の余韻に浸るまもなくニュージーランド遠征に出発した日本のサンウルブズは、クライストチャーチ(AMIスタジアム)で14日、最多7回の優勝を誇る元チャンピオンのクルセイダーズと初対戦し、スーパーラグビーのレベルの高さを改めて思い知らされた。8トライを奪われ、3−50と完敗。雨によるコンディション不良も持ち味を出せなかった原因のひとつだろうが、サンウルブズは自慢のスクラムで圧倒され、ラインアウトも安定せず、連係プレーにもミスが出て苦汁をなめた。
立ち上がりの10分、テリトリー支配92%、ポゼッション62%のクルセイダーズに対して辛抱強くディフェンスしていたサンウルブズだったが、前半11分、クルセイダーズは敵陣深くのラインアウトからFWがパワープレーで攻め込み、今季初出場のオールブラックス主将でもあるNO8キアラン・リードが先制した。クルセイダーズはFWのフィジカルを活かし、23分に追加点。
その後、クルセイダーズにイエローカードが出て、数的有利となったサンウルブズは26分、SO田村優がPGで3点を入れたものの、得点したのはこのシーンだけだった。
ウェットコンディションながら、スキルの高いクルセイダーズはミスが少なく、28分にはFLピート・サムーの鮮やかなオフロードパスを受けたWTBマナサ・マタエレがゴールに持ち込み、リードを広げた。ボールを支配し続けるNZの試合巧者はさらに31分、キック&チェイスでプレッシャーをかけるとターンオーバーしてたたみかけ、マタエレが連続トライ。37分にはハイパント確保からのカウンターでボールをつなぎ、マタエレがハットトリックを達成した。
後半もゲームの流れが変わることはなく、クルセイダーズはさらに3トライを追加して、スーパーラグビー最多出場記録更新(通算176試合出場)となったPRワイアット・クロケットの記念ゲームを勝利で飾り、開幕から7連勝で勝点を31に伸ばした。
1勝6敗(勝点5)となったサンウルブズのニュージーランド遠征は続き、次週は同国最南端に位置するインバーカーゴで、2015年大会王者のハイランダーズに挑む。
<サンウルブズ ヘッドコーチ・選手 コメント>
■フィロ・ティアティア ヘッドコーチ
クルセイダーズは、うまく試合をコントロールし、スキルレベルもとても高く、すばらしいラグビーをしていました。我々はハイボールが取れず、セットピースでもボールコントロールができませんでした。特にスクラムが安定していなかったので、アタックの起点にできませんでした。アンストラクチャーな状況でも、もっとうまくプレーすべきだったと思います。
前半クルセイダーズがスクラムとラインアウトでプレッシャーをかけてきたので、後半はもっとアタックする時間が欲しいと考え、フォワード第1列をハーフタイムで交代させました。もちろんフォワード第1列だけの問題ではありません。我々は、まだまだ修正を重ねて、成長していかなければいけません。
■HO木津武士
強かったです。ただただ強さを感じました。フィジカルも強いですし、スキルの部分も高かったです。ニュージーランドのチームはこうも違うのかという、レベルの差を感じました。フィジカルが強い上に、展開も速い。南アフリカのチームとも全く違いました。
セットプレーでも自分のミスもありましたし、スクラム全体でもプレッシャーをかけられました。今日の試合でクルセイダーズ相手に体を当てて、慣れた部分はあるので、来週、再来週と調子を上げていきたいです。
■WTB後藤輝也(この試合でデビュー)
自分の得意な部分、アタックでアピールしていこうと思っていましたが、そのチャンスを作り出すことができませんでした。自分からもっとボールをもらいにいかなければいけないと思いました。ハイボールをもっと競りに行っていれば、マイボールも増えていたかもしれないし、修正していかなければいけません。
イメージ的にはもっと競った展開になって、最後までどうなるかわからないという試合にしたかったです。コーチ陣もそういうプランを用意してくれていましたが、実行できなかったことが悔しいです。