小雨の熊谷陸上競技場にておこなわれた第18回全国高校選抜ラグビー大会の準決勝。東福岡(福岡)を終了間際のトライで破った京都成章(京都)、石見智翠館(島根)を完封した桐蔭学園(神奈川)が明日9日の決勝戦に進出した。
東福岡と京都成章の第1試合は終了までスリリングな展開に。東福岡はキックをほとんど使わず、外に展開して活路を見出す。U18日本代表のフランス遠征で8人が抜けても運動量が要求されるラグビーに挑み、ひたすらボールを継続する。準々決勝の國學院久我山戦は迷いも見られたが、この日は地域に関係なくパスをつなぐ。後半26分にWTB焼山功雅が左隅に執念のトライを挙げ、その難しいゴールをCTB吉村紘が決めて24−21、勝利を手にしたかと思われた。
しかし、直後のキックオフからの攻撃に京都成章が執念を見せる。敵陣でペナルティを得てタッチを狙ったキックをミスしたが、そのボールをなんとか奪い返す。そこからFWがモール、サイド攻撃を繰り返し、34分にはBKも加わってモールを押し込む。結果的にモールは崩れたが、レフリーはコラプシングの判定から認定トライを与える。28−24としたところでノーサイドに。
「このメンバーで試合を体験できたというのが大きな財産になる。決勝は思いきりぶつかります」と京都成章・湯浅泰正監督。一昨年の全国7人制大会の決勝以来、2度目の全国決勝で初のタイトルをつかみたい。
桐蔭学園×石見智翠館は、2分に桐蔭学園LO小澤翔が先制トライを挙げると、前半は4トライを奪って28−0。後半も6トライを挙げて68−0と圧勝した。石見智翠館の安藤哲治監督が「1対1の強さに驚かされました。ちょっとした差がものすごく大きい。これをこの時期に体験できたのはよかった」と話すように、スピード感あふれる攻撃は基本の精度の差に加え、桐蔭学園が長く培ってきた部分でもある。
8強進出チームでもっともサイズ面で恵まれない桐蔭学園だが、試合ではさまざまな工夫が見られる。唯一他校と対等のサイズ、それ以上の強さを持つPR山本耕生、細木康太郎のフロントロー陣は突破役として動き、チームは一つひとつのプレーに対する素早い判断力で動き続ける。
「結果的に完封ですが、ディフェンス面で課題も出た。外に振られた時のポジショニングなど修正して明日に臨みたい」と桐蔭学園・藤原秀之監督。2年連続決勝戦進出は初のこと。昨年は可能性を秘めながらも花園準決勝で東海大仰星に敗れた。その再出発にふさわしい春にするつもり。
(取材:福田達)
相手を抜く手法に長けた京都成章(撮影:桜井斉)