コアチーム昇格を決めて大声援を受けたサクラセブンズ。
(撮影/早浪章弘)
大声援を受けて気持ちよさそうだった。選手たちの頬はサクラ色。頂点に立って、ベテランも若手も、誰もが興奮していた。
女子セブンズ日本代表、サクラセブンズが香港スタジアムで歓喜のときを迎えた。4月7日の午後、HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ2017-2018コアチーム予選大会の決勝で南アフリカを22-10で破った。来季から世界の強豪たちと常時戦える。すなわち、もっと強くなれる機会を得た。
ファイナルは逆転勝ちだった。0-10の劣勢から覆した。
立ち上がり、警戒していた外のランナーに走られた。インサイドブレイクを許したからだ(1分30秒過ぎ)。さらにラインアウトからの攻撃でキックを蹴り込まれ、自陣ゴール前に迫られる。そして思わずオフサイド。左展開で攻略され、10点のビハインドを背負った。
しかし山中美緒主将は、ピッチに立つ仲間の自信を感じていた。
「2日間、6試合目に走り勝つことをターゲットにして練習を重ねてきましたから。(自分もみんなも)逆転できる自信があった」
前半の最後、キックオフを受けて左サイドを前進。展開したボールを持って、マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェがラインブレイクした。そこに横尾千里がついて走り切った。反撃開始ののろしだった。
7-10で迎えた後半立ち上がり、キックオフのボールを相手がノックオンしたところを攻めて反則を誘うと、中村知春がPKからすぐに前に出た。インゴールには届かなかったが桑井亜乃が左隅に逆転トライを挙げた。10-12とした。
その後の6分強を、サクラセブンズは狙い通りに走り勝った。2分過ぎの堤ほの花のトライはPKからの速攻が起点。17-10と引き離し、とどめのトライは残り50秒で出た。その攻撃もPK後の速攻から始まる。さらに前へ出てPKをもらうと右タッチへキック。ラインアウトからモールを組み、清水麻有が22-10とするトライを挙げた。
1月から3か月、この大会をターゲットにチームを鍛えてきた。主将が言う通り、2日目の6試合目に運動量で上回るためのトレーニングを重ねた。
アタックもボールが動き続けるように、ブレイクダウンを制してボールをキープするスタイルでなく、防御のウラに出たらつなぎ、走り、またつなぐ。その意識が形になった。
SHとして多くボールを触り、PKから必ず速攻を仕掛けた中村が言う。
「私たちがトライをとるのは、ターンオーバーとPKからが多い。だから迷いなくいけた」
意識も動きもワンチームになった。その結果の頂点だった。
ここが世界で勝っていくためのスタートラインだ。こわいもの知らずで駆け上がってきた若手も、やがて強豪国の凄みを感じ、ひとつのミスのおそろしさを知る。4月22日、23日に北九州で開催されるHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズでも、その壁の高さを知るだろう。
しかし、そんな世界に足を踏み入れる権利を得たことが何より嬉しい。世界と、そしてチーム内のライバルとの競争を2020年までくり返し、東京でも歓喜のときを迎えられるようにしたい。