先制トライを奪ったサクラセブンズ、谷口令子。(撮影/早浪章弘)
嫌な相手だった。HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ2017-2018コアチーム予選大会、2日目の初戦(決勝トーナメント準々決勝)の相手は中国。初日、プールAの最終戦で戦った好敵手と、17時間をあけての激突だった。
大会に参加した12チームの中で初日トップだった日本と、プールAで3位と、滑り込みでトーナメント準々決勝進出を決めた中国。失うものがない相手の捨て身のチャレンジが怖かった。しかしサクラセブンズは28-14で勝った。準決勝進出決定。舞台をセブンズの聖地、香港スタジアムに移してイタリアと戦う。
気持ちの入った相手とのクォーターファイナル。日本は前半を14-0とリードした。
最初のトライは3分過ぎ。中国のアタックを辛抱強く守った後に得たPKからボールを動かし続け、最後は谷口令子がインゴールに入った。前半修了間際にはスクラムからのアタックで敵陣深くに入りPKを得る。速攻から攻め込み、相手ゴール前でふたたびPK。中村知春が転がしたショートパントにマテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェが反応して押さえた。
しかし、身体能力では上回る中国は後半最初に持ち味を発揮した。立ち上がり、キックオフボールを確保して攻め、日本が反則すると速攻を仕掛ける。スピードランナーが後退する防御の脇を走り抜けてトライを返した。3分過ぎにはスクラムからパワフルにタテに攻めて日本防御を集め、右に展開。スピードランナーが走った。残り4分強で14-14の同点となった。
サクラセブンズは、勝負の時間帯になって若手が躍動した。巧みなステップで防御を崩したのはバティヴァカロロ ライチェル 海遥だ。そこにスピードスターの堤ほの花が走り込み、左へ展開。最後は高校3年生の平野優芽が走り切って勝ち越しトライを挙げた(4分30秒過ぎ)。
残り2分を切ってからのトライは、蹴り上げたキックオフボールを確保したところからボールをよく動かし、運動量とコミュニケーションで中国を翻弄したものだった(清水麻有のトライ)。
稲田仁ヘッドコーチ代行は言った。
「若手と経験のある選手たちが本当の意味でひとつになってきている」
準決勝のイタリア戦は14:34キックオフ(日本時間15:34)。指揮官はリカバリーにおいても他国を上回り、最良のコンディションで決戦に臨むと言った。
巨大スタジアムのピッチでも、いつも通りのスタイルを貫きたい。