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サンウルブズ離脱中の矢富勇毅、NDSで「失われたものを取り戻せた」

2017.03.29

昨年はサンウルブズで10試合に出場した矢富勇毅。合流は近いか?(Photo: Getty Images)

 日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、3月24日までの約3週間、ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)という選手強化システムのキャンプを仕切った。
 参加者には、サンウルブズのメンバーも含まれていた。スーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは、合計56名の大所帯。しかし一部の選手は、コンディショニングのためクラブを離れている。本隊が海外ツアーに出かけていた3月中は、控え勢を含む国内残留組がNDSで汗を流していた。
 矢富勇毅もその1人だ。今年の2月16日に32歳になったばかりのSHで、身長176センチ、体重85キロというサイズを誇る。密集の脇を鋭く駆け上がる。
 早大では3度の大学日本一に輝き、ヤマハでも2014年度の日本選手権優勝を経験。日本代表として16キャップを取得し、前年度から2季連続でのサンウルブズ入りを果たしていた。
 ただ、度重なる故障に泣かされてもきた。今度も国内シーズン中に負った「右膝の内側」の怪我を受け、2月中にサンウルブズと距離を置くこととなった。
 本隊から離れ、NDSで調整する…。サンウルブズのフィロ・ティアティア ヘッドコーチらと相談し、その意志を固めた。
「シーズン中にやってしまって、その後もずっと試合を…という感じでした。(日本の)トップリーグが終わった段階で診察をしたら、思った以上に膝が悪かったんです。スーパーラグビーは開幕から…という気持ちもありましたけど、年齢のこともありますし、まず早く治すことを第一に考えました。フィロとも話し合って、この合宿中にある程度戻れたら…と」
 NDSでは、最初の2週間は別メニューで調整した。20日からの第3回キャンプから、全体練習へほぼフル参加。徐々に復調の兆しを覗かせている。
 23日、発足時に比べどんどん強度の上がるNDSのセッションを終え、はつらつと語るのだった。
「まず、ラグビーの勘を戻すという意味合いがあった。コンディション的にはまだまだですけど、この激しい練習で失われたものを取り戻せた感覚はあります。2017年度、やっと一歩、踏み出せたかな、と思います。もう少し早く戻りたかった気持ちもありますけど、この週にほぼ全部のメニューを消化できたことには、手応えを感じています」
 日本代表経験者の多くを欠いている現在のサンウルブズは、目下、開幕5連敗中。1週間の休息を経て、4月8日には東京・秩父宮ラグビー場でブルズ(南アフリカ)を迎え撃つ。2日の再始動時からチームに合流したいという矢富は、仲間の戦いをどう見ていたのだろうか。第4節終了時点で、こう話していた。
「やろうとしているラグビーへの手応えを感じていると思います。トライも取れるようにもなりました(1試合平均3トライ奪取)。ただ、手応えを感じている分だけ、勝ちきれないというもどかしさもあるのかな、と。ここから何試合か重ねると、さらに良くなると思う。経験のある選手が入っていけば、ぐっと変われるという印象はあります」
 2019年には、ワールドカップ日本大会がある。矢富はその頃34歳とベテランの域に突入しているが、2007年のフランス大会以来の出場を狙っている。そのためにも、日本代表と連携するサンウルブズで持ち味を発揮したい。
「やれることをアピールして、状態がいいことを見せる。試合やツアーのメンバーに選ばれたら、しっかりと力を出すための準備をする。これが、現状でできる僕の仕事」
 矢富が本格始動するより先に、NDSにいたSHの流大がサンウルブズへ追加招集された。昨季優勝したサントリーで主将を務めた24歳で、同チームへは今回が初の加入となる。若手の台頭でポジション争いは激化するが、32歳の元気印は「迫られていることは感じますけど、自分のできる準備をしてポジションを取る」。人に左右されず、己を高める。
(文:向 風見也)
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