イングランドの連勝記録の更新、2年連続のシックスネーションズグランドスラム(全勝優勝)の夢は、3月18日、ダブリンの地で惜しくも潰えた。序盤からのリードを守りきったアイルアンドが、13−9でイングランドを下した。前節で決まったイングランドの優勝は変わらないが、3勝2敗となったアイルランドは全試合の得失点差で2位の座に滑り込んだ。
試合の序盤は両軍ともに堅いディフェンスを見せ、緊迫した試合展開となった。最初に訪れたチャンスは9分。アイルランドは、WTBサイモン・ジーボがライン裏へキックを試みたところからボールが乱れたが、FBジャレッド・ペインがこぼれ球を受ける。そのままタックルを外しながら走り抜け、ゴール前でWTBキース・アールズへパス。アールズはライン際から鋭く内へ切り込んだが、コンタクト時に惜しくもボールをこぼし、トライとはならず。
その後もボールを支配し続けるアイルランドは、22分にイングランド陣ゴール前のラインアウトからドライビングモールを押し切り、トライ。この他にも、両軍ペナルティゴールを交換し、10−3、アイルランドのリードで前半が終了した。
後半に入っても拮抗した展開が続き、両軍ともにディフェンスの堅さばかりが目立つ、ロースコアな展開。ペナルティゴールが試合の展開を握るなか、13−9とアイルランドが僅差のリードを保ちながら、最後の10分を迎える。時間を使うために、試合をスローダウンさせながら進めるアイルランドに対し、イングランドは最後の一撃を見舞うスキを伺い続ける。
ラストワンプレーで、逆転トライを狙って自陣からボールをキープし続けたイングランドだったが、中盤でのハンドリング・ミスで試合終了。イングランドの2年連続グランドスラムの夢は、ダブリンの地に潰えた。
「今日のアイルランドは、いいゲームをしていた。特に、ラインアウトとブレイクダウンではやられました。イングランドの選手たちも全身全霊を尽くして戦ったのは間違いないですが、プレーの正確さを欠いた。アイルアンドのプレッシャーにやられた形です。こちらがプレッシャーをかける展開を狙っていましたが、今日はやられた、と言わざるを得ません」。敗戦の悔しさを滲ませながらも、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは冷静に試合を振り返った。
これでイングランドのテストマッチ連勝記録は18でストップ。
「確かに悔しいですが、シックスネーションズで2年連続の優勝は達成しましたし、ここまで連勝記録を残したこと自体は、胸を張っていいことだと思います。今日の敗戦で学んだことを糧に、更に強くなるために鍛錬を重ねていきます」。闘将は、厳しい顔つきながらもしっかりと前を見つめた。
番狂わせ、僅差の名勝負が相次いだ2017年のシックスネーションズ。大会は2年連続でイングランドの優勝となったが、欧州のラグビーには今後も波乱が続くのかも知れない。
(文:竹鼻 智)