<スーパーラグビー 第2節>
サンウルブズ 23−37 キングズ
(2017年3月4日/シンガポール・ナショナルスタジアム)
23−10から23−13に差を詰められた直後の後半22分頃。自陣10メートル線付近左中間で走者を正面から仕留める。途中出場のFLクリス・クルータが手元に絡みつく。肉弾戦を仕掛け、サンウルブズの反則を誘う。キングズは間もなく敵陣深い位置へ進み、モールの塊を押し込み加点した。30−13。
雨上がりの東南アジア。昨季の17位対18位のカード。南アフリカのキングズは、暑さで集中力を乱さなかった。かたや、しばし組織的攻撃を食い止められたサンウルブズは、本来、快勝できそうだった。
攻めては密集近辺に相手が寄るや逆側へ展開。SH田中史朗がテンポよくパスをさばくなか、前がかりになった防御の裏へキック。田邉淳アタックコーチの「スマートに(ボールを)渡す」との言葉通りだ。
前半14分、敵陣中盤右のラインアウトから突進、オフロードパスを交えて前進。敵陣22メートルエリア左まで達し、右へ長いパスを通す。今度は防御の凸凹をCTBティモシー・ラファエレがえぐる。その先でフェーズを重ねる。
最後は密集から、球をこぼす。
対するWTBマルコム・ジェアーが走り、最後はSHルディ・ファンローイエンが止め。10−0。
続く16分頃、敵陣22メートル線付近右のスクラムを押し込むも、逆側でパスを得たWTB福岡堅樹が左タッチラインの外へ出される。
守っても大外からせり上がるシステムが時折、瓦解した。
前半33分、自陣10メートル付近右。相手ボールラインアウトからのアタックを待ち構えるシーン。相手走者を隣の味方と挟み撃ちにする立ち位置の選手が、より外側へ視線を向けてしまった。その隙間を対するWTBジェアーが大きく突破し、サポートに入ったFLクルータが接点上の球をピックアップ。軽いステップでタックラーの死角を突いた。
ここでスコアは17−7。要所で加点するキングズに対し、サンウルブズは走者と援護者とのリンクやパス交換で呼吸を乱した。流れを変える大幅なタクトは振るわれぬまま、時間は流れていった。
「ボールを運ぶチームの戦いはうまくいっている。ただ、最後にミスが…。ここは個人の問題でもあるので、練習でよくしていきたいです」
普段は辛口のSH田中がどうにか前を向くなか、HO堀江翔太は広報を通し、あくまで敗者として談話を残すのだった。
「しっかりと現実を見て、修正する部分と伸ばしていくところを見極め、行動に移していければ。負けという結果をすぐに忘れるようなことがあってはいけない。また次の試合に勝てるように…」
概ね優勢だったスクラムや全体的な試合運びなどの完成度には手応えをつかんだ。が、要所での連携不良で泣いている。ジャパンのジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチらの意向で、国際経験豊かな代表常連組の出場機会は限られるのが前提だ。
となれば、次に着手すべき点はどんどん明確になって来よう。
次は現地時間3月11日、南アフリカのブルームフォンテインでチーターズに挑む。待ったなしだ。
(文:向風見也)