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春の開花へ。九州からは6校がセンバツ出場 名護は沖縄県勢初の切符獲得!

2017.02.25

佐賀工との決勝でラインアウトから攻める東福岡。写真中央が新主将の福井翔大(撮影:Hiroaki.UENO)

 新チームによる春の大舞台、「第18回全国高校選抜ラグビー大会」まであと約1か月。各地域で予選大会がおこなわれ、九州からは東福岡、佐賀工業、長崎南山、大分舞鶴、高鍋(宮崎)、そして名護(沖縄)が切符を獲得した。2016年度は東福岡が選抜大会を含む3冠を遂げたため、前年度優勝枠をプラスして九州ブロックには6枠が与えられた。名護は沖縄県勢としても初の全国選抜大会出場となる。
 全九州高校新人大会は2月18日から22日にかけて福岡・グローバルアリーナで開催され、決勝では東福岡が28−7で佐賀工を下した。しかし、雨の影響もあって両チームともミスが多く、快勝とはいえない戦いぶりに東福岡の藤田雄一郎監督はぶ然としていた。
「負けなかった、ということだけです。前半はバタバタしてしまった。花園が終わって、ノンストップでここまでやってきたから…。選抜大会までしっかり準備しないといけないですね。新チーム発足時、箸本たちのチーム(箸本龍雅主将が率いた昨年度のチーム)を乗り越えるようなチームにしようと話をしましたけど、なかなか難しいですね。今大会で見えた課題はいっぱいある。まずはラグビーをちゃんと理解させないと。しっかり、底上げをやっていきます」
 東福岡の新チームの主将に選ばれたのは、3冠達成に大きく貢献したNO8福井翔大だ。佐賀工との新人大会決勝、7−7で迎えた前半12分に福井のキックチャージから勝ち越しトライが生まれ、後半最初の得点も福井が連続攻撃を締めくくった。
「試合環境は僕たちがコントロールできる部分ではないですけど、雨の中でも、それに対応していかなければいけないと思います。課題はたくさんありますが、僕たち一人ひとりがラグビーをより理解することで、場面に応じて、型にとらわれないというか、いい意味で、教えられたことを違うふうに活かせるプレーができるようになると思っています。そして、僕たちの武器はターンオーバーだと思うので、ブレイクダウンでバンバン破壊して、フィジカルありきのワイドラグビーをしていきたいです。今年の目標は4冠ですね。(海外チームも参加する5月の)ワールドユースを取りに行きたいです」
 2年生ながら高校日本代表に選ばれた福井は、3月31日に開幕する全国選抜大会の直前、アイルランドへ遠征する。ハードスケジュールだが、将来を嘱望されるこの若者はさわやかな笑顔でこう言った。
「自分よりレベルが高い選手がたくさんいらっしゃるので、足を引っ張らないようにしたい。そして帰ってきたときにチームに貢献できるように、僕自身が飛躍したいです」
 3位・4位決定戦は長崎南山が大分舞鶴に36−12で勝利。序盤は大分舞鶴が接点で激しくファイトするなど優勢だったが、南山はCTB末長和輝など俊敏で勝負強いバックスが多く、計6トライを挙げて逆転した。
 南山は準決勝で東福岡に28−61で敗れたものの、後半だけで4トライを挙げており、攻撃力は全国舞台でも楽しみだ。
 そして、5位・6位決定戦は高鍋が51−8で名護を圧倒した。強力FWのスクラムで優位に立ち、BKも躍動して計9トライ。点差が開いても最後まで集中力が高いラグビーをやり切り、名護を振り切った。
 完敗した名護の辺土名斉朝監督は、「たくさん課題が見つかったのでありがたいなと思っています。この子たちは始まったばかりですから」と収穫を口にする。
 サイズは小さい選手が多い。それでも、粘り強さが名護の持ち味だ。選抜出場がかかった5位決定トーナメント初戦の熊本西との試合は、高鍋戦と同じくスクラムで圧倒されたが、ディフェンスをしつこく粘り続けて7−7で引き分け、抽選で切符をつかんだ。
「涙を流す子もいました。なにしろ、沖縄県にとっては初めての出来事なので。これまで九州大会では、お恥ずかしいんですけど、1試合やって負けて帰るということが多かったんですが、今回は4試合もできて、子どもたちにとっては相当な勉強になった。彼らの成長だと思います」
 全国高校選抜大会へ向け、名護はタックルを鍛えていく。簡単につぶされないように。もちろん、スクラムも大きな課題だ。
「1勝でもできるように、しっかり向き合っていきます」
 楽しみな春。新しいチャレンジができる。

大分舞鶴(黒ジャージー)を封じ込める長崎南山(撮影:Hiroaki.UENO)

高鍋×名護。両チームともひたむきにプレーした(撮影:Hiroaki.UENO)
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