サンウルブズがMAN WITH A MISSION(以下MWAM)とコラボレ−ションし、完成したのが「Brave It Out」のMVだ。「ジャングルブック」のようなシ−ンにMWAMの音楽がシンクロする映像は、ワクワクさせられる。
このMVを撮った監督が谷聰志氏である。Mr.ChildrenやRADWIMPSなどのライブ映像も手懸ける谷氏がどのようにサンウルブズとMWAMを融合させたMVを作り上げたのだろうか。
−−サンウルブズとMWAMとのコラボレ−ションですが、最初はどういうイメ−ジの映像を考えていたのですか。
「最初にお話をいただいた時、ラグビ−を映像化することにすごくワクワクしました。ラグビ−は肉体がぶつかりあうアグレッシブなスポ−ツですし、ゲ−ムは野性味が溢れてすごく熱いじゃないですか。その熱い部分をマンウィズの音楽に乗せて、スタイリッシュにカッコウ良く見せつつ、野性味をうまくバランスよく混ぜていろんな人に見てもらいたい。そういうイメ−ジで考えていました」
MVはMWAMとのコラボレ−ションだが、通常の音楽MV製作のプロセスとは異なり、映像の企画からのスタートだったという。
−−映像企画からのスタ−ト。
「そうですね。今回、マンウィズさんが楽曲を提供する話は決まっていたんですが、『まず監督のコンテを見せてください。今ある楽曲を提供するのではなく、サンウルブズのために作りたいんです』というリクエストがあったんです。そこで僕が考えたコンテと映像の軸に楽曲を作っていただいくことになりました。一度、撮影時にラフな状態でいただいて、そのイメ−ジを膨らませて撮り、編集の時にもう1回、マンウィズさんに戻すという感じで進行しました。通常の音楽MVと違って文字通り一から作り上げていったのでとても楽しかったですね」
−−やりとりをする中でMWAMから「ここをこうしたい」というリクエストはあったのですか。
「とくになかったですね。僕がラフなコンテと映像を出し、マンウィズさんはそれを見てイメ−ジを膨らませていく。たくさんのやりとりがあったわけではなく、無言のキャッチボ−ルをしている感じでした。完成してすごいなって思ったのはイントロの部分です。ドンドンって重低音で始まるんですが、そこは僕のイメ−ジと同じ方向で、さらにすごいものが返ってきたので、『おぉ−。ここはこういう風にしよう』ってかなりテンションが上がりました」
MVは、白い狼の若者が山から降りて来て、街を抜け、ラグビ−場にやってくる。ディズニ−映画「ジャングルブック」を始め、アニメ動画「狼少年ケン」やマイケル・ジャクソンの「スリラ−」など「狼」のいろんなエッセンスが加味され、分かりやすく誰もが楽しめる映像になっている。
「映像的にはすごく王道です(笑)。マンウィズさんは僕が最初に提供したコンテと映像をイメ−ジして、楽曲の構成をしてくれました。実際、イントロから映像に当てこんで作っているような展開だったんです。このパ−ツにはこのシ−ンを入れようとか、ブロックで簡単にイメ−ジすることができましたので、もうバッチリでした。映像は複雑で頭を使って見てもらうというよりもパッと見て楽しんでもらいつつ、最終的にサンウルブズのイメ−ジにもっていく。自分の思っているところにはいけたかなと思っています」
−−撮影中の面白いエピソ−ドとかは。
「出演している男の子ですがラグビ−経験者を探しました。やっぱりボ−ルの持ち方とか経験者じゃないとサマにならない部分があるので……。白い衣裳をファンタジ−風な感じに見せたかったんですが、野性で暮らしている感も出さないといけないで現場で泥をつけたんです。でも、あまりボロボロにするとスタイリッシュじゃなくなるので、その按配が難しかったですね。あと、夜の森を走るシ−ンがあるんですが実は昼間に撮影しています。うまく夜に変換できました(笑)」
撮影は最初に選手を撮り終えた後、ドラマパ−ツの撮影日は1日のみ。そのため走り回ることができる山と街、グラウンドが近いロケ−ションを探すのにはかなり苦労したというが、奥多摩で無事に撮り終えた。
−−谷監督がいちばん見てほしいところはどこでしょうか。
「まず選手の体ですね。間近で見た時の迫力はすごい。傷もすごいんですが、とにかく使われている肉体のカッコウよさがあって迫力がすごかった。すごくドキドキするところなので、ぜひ見てほしいですし、あとはこの映像をキッカケにラグビ−に興味を持ってもらえるようになればと思っています」
−−今年シ−ズン、サンウルブズに期待することは。
「生意気なことを言えば、今シ−ズンも大変だと思います。1シ−ズン参加して世界の壁は厚いなぁというのが分かりましたが、W杯の南アフリカ戦の影響もあって過度に期待されている部分があると思います。でも、2019年のW杯に向けて強くならないといけないので、プレツシャ−と期待で大変ですが、地道にコツコツと前を向いて進んでいってほしいですね。それができたら2年後に日本で夢が見れるって気がしています」
(文:佐藤 俊)
谷 聰志(たに さとし)1977年、三重県生まれ。
2003年:有限会社イエローブレインに入社、丹下紘希氏に師事する。
2005年:ディレクターとしてデビューする。
2010年:フリーランスになり、世界一周の旅へ
2011年:帰国
2012年:Ponder Snail Co.,Ltd.設立
〜監督作品〜
≪MusicVideo≫
MONKEY MAJIK“Headlight”MV,TV-SPOT
JUJU“BELOVED“Lullaby of Birdland”“みずいろの影” MV,TV-SPOT
GAKU-MC/櫻井和寿(Mr.Children)“手を出すな!”MV
など
≪LIVE収録・演出映像≫
Mr.Children
HY
倖田來未
レミオロメン
miwa
など