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友だちと勝負! サンウルブズのイラウアが意気込む「チャンス」とは。

2017.02.24

プレシーズンマッチでアピールしたマルジーン・イラウア(撮影:?塩隆)

 びっくりしたのは相手の方だった。
「なに、ジーン。サンウルブズのメンバーなのか?」
 2月25日、東京・秩父宮ラグビー場で、国際リーグであるスーパーラグビーの開幕節がある。
 日本から参戦2年目のサンウルブズへ新加入した「ジーン」ことマルジーン・イラウアは、前年度王者のハリケーンズとの初戦にFLとして先発。21日朝にメンバー入りを知らされたことを「むっちゃ、うれしいね」と関西弁で振り返り、こうも続ける。
「すごく、いいチャンス」
 ここでの「チャンス」には、いくつもの意味がある。そのうちのひとつは、友人との対戦だ。相手の先発LOであるマイケル・ファティアロファは、イラウアにとってはオークランド・ケルストンボーイズ高時代の1学年上の友人だ。今度の対戦を前に、向こうから「ジーン」のもとへ連絡が来たという。
 イラウアが2012年に来日する一方、ファティアロファはオークランド代表としてプレーするなど母国ニュージーランドでキャリアを積んでいた。この2人が世界最高クラスのステージで再会できるのだから、イラウアがこう言うのも当然だった。
「ハリケーンズには、よく一緒に遊んだ友だちもいる。久しぶりに勝負できるチャンスね!」
 身長187センチ、体重105キロの23歳。堂々たる体躯を肉弾戦で活かす。目下大学選手権8連覇中の帝京大に入部すると、在籍期間はチャンピオンで居続けた。
 国際舞台に躍り出たのは、昨季になってからだ。東芝の新人として国内のトップリーグに挑戦するなか、2016年秋の日本代表ツアーに帯同。今回のサンウルブズでの活動を通し、今後の代表定着への足掛かりを作りたい。
 ジャパンは6月にアイルランド代表などとぶつかるだけに、イラウアも選出を心待ちにする。もっともまずは、目の前の仕事に集中する。
「6月にいいボディーで、元気なままで、日本代表に入りたい。でも、まずは、いま。いまやることだけをやる」
 当日、特に意識したいプレーは「ディフェンス」だという。チームはベン・ヘリング ディフェンスコーチのもと、タッチライン側から接点側へとランナーを閉じ込めるような防御を意識。イラウアも相手の攻撃の特徴を踏まえながら、自軍システムの理解を進めている。
 ヘリング コーチが「全選手とも、コンセプトの理解はしてくれていると思います。実際に、グラウンド上でヒートアップした時にそのコンセプトを遂行できるかどうか…。そこが、興味深いところです」と展望するなか、背番号6の「ジーン」はこう胸を張る。
「ディフェンスはめっちゃ、勉強しました。レベルアップできた」
 最初は全くしゃべれなかった日本語は、流行歌を熱唱できるまでに上達した。王国からやって来る古くからの友人を前に、アジアで揉まれた成果を示したい。
(文:向 風見也)
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