投げられたタマゴを受ける寸前の松橋周平(NO8/ リコー)。
初参戦のフレッシュマン。(撮影/松本かおり)
最後は盛り上がった。ベストスローワーはFLヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)だったか。キャッチングがうまかったのはマルジーン・イラウア(FL/ 東芝)のように見えた。
2月1日、スーパーラグビー参入2シーズン目となるサンウルブズが始動した。東京・辰巳のグラウンドで14時30分頃に始まった練習は約1時間。ゴールラインから22mラインの往復、次は10mラインまでの往復…とシャトルランを繰り返すフィットネス・トレーニングに続き、2つのグループに分かれてのパスワークや、球の動かし方を繰り返すコンビネーションがおこなわれた。そして、最後にスペシャルメニューが用意されていた。
4チームに分かれての競争だった。各チームのスローワーたちがインゴールに位置し、ひとりのキャッチャーが10?ラインやハーフウェイラインへ。生卵を投げ、それを割らずにキャッチできたらポイントを得るシステムのゲームだ。
割らずにキャッチできた距離によって得点が変わるものの、長い距離のスローを受けると衝撃が大きくてグシャッといくから、腕を巧みに引きながら受けるテクニックが必要だ。集中力も。しかし何より、その僅かな時間でメンバーたちの絆が急速に高まった。
NO8エドワード・カークとともに共同キャプテンを務めるCTB立川理道は「初日にしてはいいスタートを切れたと思います。いいコミュニケーションがとれていた」と言った後、続けた。
「すごく大きなスコッド(50人)のチームですが、最後にああいった楽しい時間を過ごすだけで、急速に距離が縮まったと思います」
新ヘッドコーチのフィロ・ティアティアも「(開幕までに)限られた時間しかない。きついことをやるだけより、ああいった機会も作った方がチーム作りが早まることもある」と話した。
参戦初年度の昨季は、1勝1分け13敗の最下位に終わった。アシスタントコーチを務めていた昨季を振り返り、ティアティアHCは「どこよりもトライを多く取られたチーム。どう守るのか。どの相手を止めるのか。いいディフェンダーになるためにはどうすればいいのか。それらのことを、すべてやっていくしかない」と話した。
「個々が自分の役割を理解することが大事。そのためには準備を重ねるしかありません」
立川は「昨秋のジャパンとやろうとしていることが似ている」と言った。
「一人ひとりの役割を明確にして動き、相手を疲れさせる。みんなこのチームが日本代表につながっていると分かっています。競争して、その結果多くの選手がスーパーラグビーを経験し、それがジャパンの強化につながっていったらいいと思います」
個人的に(2シーズン目は)ニュージーランドのチームと対戦できるのも楽しみと言った。
「キャプテンだからと上に立つのではなく、選手とスタッフの間をつなぎたい」
チームは2月3日まで辰巳で練習した後、福岡へ移動。2月18日に予定されているトップリーグオールスターズとのプレシーズンマッチへ向けての準備を進める。
その試合の1週間後に迎える開幕戦(2月25日/秩父宮ラグビー場)で戦う相手は昨季のスーパーラクビー王者、ハリケーンズ。まずは50人が、23しかないオープニングゲームの登録枠、15のスターターの座を巡る争いをどれだけ熱いものにできるのか。勝負の行方は、そこで決まる。