3月におこなわれる「全国高校選抜ラグビー大会」出場切符をめぐり、全国各地で1、2年生による新人大会が開催されている。
東京都は1月22日に「平成28年度東京都高校新人大会」の準々決勝4試合をおこない、目黒学院、早稲田実業、本郷、國學院久我山が29日の準決勝(成蹊高グラウンド)へ進んだ。
今年度の花園、「第96回全国高校ラグビー大会」に出場した東京高(第1地区代表)は目黒学院に12−35と完敗、第2地区代表の明大中野も本郷に10−12で惜敗し、ともに選抜大会出場を逃した。
『歴史をつなげず 東京高』
成蹊高グラウンドでおこなわれた2試合。1試合目は目黒学院が東京高を後半圧倒し、35−12で勝ち4強入りした。
前半は互角。6分、目黒が東京陣右ラインアウトからモールで押し、オープンサイドへ回し先制トライ。ゴールキックは右WTBエドバー・マビンが決め、7−0とした。東京も開始直後に目黒ゴールラインへ攻め込んだが、ノットリリースの反則で機会を逸する。しかし、前半終了直前に目黒陣22メートル左ラインアウトからモールでお返し、7−7で折り返した。
後半に入ると目黒が躍動。3分、東京陣へ入ると、22メートルのラックからNO8ハラシリ・シオネが直進、ゴール直前でPR山口泰雅につなぎポスト右へボールを置いた。キック成功で14−7。東京も7分後にトライを返したが、目黒は16分、ゴール前スクラムから出たボールをNO8シオネが東京ディフェンスを粉砕し、トライを挙げた。20分にはWTBマビンが右ライン際から中央にトライ。28−12とリードを広げると、最後は、東京の自陣からの攻撃をタックルで止めボールを奪うと、FB高橋達也主将が5点を加点、マビンがこの日すべてのゴールキックを成功し、35−12で東京を下した。
目黒学院の竹内圭介監督は「ピークをこの試合に持って来た。前半はマイボールのブレイクダウンで東京の圧力を受けたが、そこを修正するように指示した。マビンやシオネらの突破力が目立つが、他の選手たちがサポートプレーをしているからこそ。全員ラグビーを目指している。後半トライも奪えた、ディフェンスも良かった」と選手たちを称えた。
高橋主将は「ハーフタイムには、最初10分間で勝とうと話した。自分たちの強みである接点でも圧倒できた。目標は選抜大会に出て優勝すること」と、全国制覇を早くも掲げた。
一方、東京は12回目の出場となったこの冬の花園では、初めて3回戦の壁を破り(vs 大阪桐蔭 12−3)、8強へ進出した。準々決勝で東海大仰星に12−40と完敗したが、昨年度、東京都レベルでは新人大会、春季大会、全国予選と負けなしの3冠だった。
それだけに、歴史をつなぎ新しい記録をつくるために新人大会は優勝し、選抜出場を当然のように考えていた。森秀胤監督は「去年のチームは3年生のもの。今年の2年生は別だ。ディフェンスがダメだった。一つ一つ勝つことでチームは積み上げていくことができるのだが」と話した。試合後、うつむく選手たちに「さぁ、弱いチームは帰って練習」と声をかけ、春以降のリベンジに取り組む一歩を始めた。
目黒学院のWTBマビンはゴールキック5本すべて成功(撮影:見明亨徳)
『早実はボールキャリアーが躍動』
準決勝で目黒学院と戦う相手は、第2試合で早稲田実業が36−12と保善を退け、決まった。
この試合は早実が前半5分にCTB中西亮太朗主将がトライラインを駆け抜け先制した。保善も執拗にラック周辺を突く攻撃を仕掛けると、早実ゴール前ラックからボールをポスト下に運び、同点とする(7−7)。
しかしアンストラクチャーでの攻防は早実が一枚上手。前半終了間際につないでゴール右中間へ飛び込み、14−7で折り返した。
後半は早実のボールキャリアーが前へのランでゲインを重ねた。8分、左ラインアウトからモールで進むとラックを形成、ラックからHO日暮大がインゴールへ置いた。さらに3連続トライで23分までに36−7と支配。保善は最後の攻撃でトライを返すにとどまった。
大谷寛ヘッドコーチは「まだ組織的なアタック練習はしていない。日暮のトライは継続して行っている2人がボールをもらうために立ち、前が空いている方に渡し攻めることができた。保善の方が体は大きくて重いが、早実はフィジカル強化に取り組んでいる。後半は差が出て早実が優位になると見えていた」と冷静。
準決勝の相手は目黒学院。パワーある選手たちのランを止めることが第一となる。「ディフェンスは複数をかけて上回り止めることを課題としてきた。それを体現できる試合にしたい」。
東京朝鮮高グラウンドではもう一つのブロックの準々決勝2試合があった。
先月、花園に27年ぶり出場した明大中野は本郷と対戦。前半は本郷が7−5とリードし、後半も両校は1トライずつの5点を加え、12−10で本郷が制した。
本郷は昨年の全国大会予選準々決勝で明大中野に21−24で敗れていたが、リベンジを果たした。
もう1試合は、その明大中野と全国大会予選決勝で引き分け(19−19)抽選で花園出場を逃した國學院久我山が、明大中野八王子を47−0と圧倒し、準決勝進出を決めている。
(文:見明亨徳)
保善×早稲田実業。後半15分、ゴールへ走る早実WTB清水竜成(撮影:見明亨徳)