ラグビーリパブリック

パナソニックが日本選手権の決勝へ! ヤマハは悔い残し、無冠で終える。

2017.01.21

前半に2本トライを決めたパナソニックのWTB福岡堅樹(撮影:早浪章弘)

 トップリーグ上位3チームと大学王者が参戦した第54回日本ラグビー選手権大会は1月21日、東大阪市花園ラグビー場で開幕して準決勝がおこなわれ、大会連覇を目指すパナソニック ワイルドナイツがトップリーグ2位だったヤマハ発動機ジュビロを36−24で下し、決勝進出を決めた。
 パナソニックは4連覇がかかっていた今季トップリーグの開幕戦でヤマハに敗れており、雪辱を果たした。
 この試合でゲームキャプテンを務めたFL布巻峻介は、「今日はFWが頑張ってくれた。特にスクラム。開幕戦ではボコボコにやられたから。ヤマハの強みをうまく消せた。ディフェンスからのトライもいくつかあって、うちらしいラグビーができた」と快勝を振り返った。
 パナソニックは堅いディフェンスからターンオーバーを連発し、勝負強いBKが前半だけで5トライを挙げ、リードを守り切った。
 前半10分、パナソニックは敵陣22メートルライン内のスクラムからの攻撃で、WTB福岡堅樹が鋭く切り裂いて先制した。12分にはSO山沢拓也がキックしたボールを自ら確保して左ゴール前に迫り、CTB林泰基につないで追加点。24分には敵陣深くの密集でターンオーバーしてから、WTB山田章仁がトライを決めた。
 対するヤマハは28分、ラインアウトからモールで押し込み、ようやくスコアボードを動かす。
 しかし35分、パナソニックは自陣でのブレイクダウンでターンオーバーしてから一気にカウンターを仕掛け、FB笹倉康誉とCTBリチャード・バックマンがランでゲインしてWTB福岡につなぎ、26−7とリードを広げた。
 38分には相手がチップキックしたボールをFL布巻が確保し、素早くバックスに展開してWTB福岡が突破、CTBバックマンがサポートしてゴールに持ち込み、33−7で前半を終えた。
 26点を追うヤマハは50分(後半10分)、俊敏なWTB田中渉太が防御網を切り裂いて後半最初の得点を挙げたが、パナソニックはこの日8番をつけたオーストラリア代表のデービッド・ポーコックを筆頭に、ブレイクダウンで何度もヤマハの反則を引き出し、簡単に流れを変えさせなかった。
 パナソニックは65分にPGで3点追加し、24点差とする。
 なかなかゲームの主導権を握ることができなかったヤマハは、71分にLO大戸裕矢がトライを挙げ、79分にはWTB伊東力が敵陣10メートルライン手前から突破して柔らかい走りでそのままゴールに持ち込み、12点差としたが、反撃が遅かった。
「シーズン通して強みを前面に出せた。充実した1年だったのは事実」と語ったのはヤマハの清宮克幸監督。しかし、今日は前半10分が非常に悔いが残ると振り返り、「パナソニックの外側のスピードある選手に対する準備が不足していた」と反省した。
 圧倒的なスクラムを武器に、今季の日本ラグビーをけん引したヤマハだが、結局、無冠で終わった。キャプテンのFL三村勇飛丸は、「今季は自信を持って勝ちを積み上げてきたのに、このような形で終わるのは残念。うちは負けて学んで強くなってきた。足りないものがたくさんあったということ」と悔しさをかみしめていた。
 一方、勝ったパナソニックのロビー・ディーンズ監督は、「ヤマハは意図を持ったアタックをして、強みを活かしてくるチーム。厳しい試合になると思っていた。ヤマハはもっとぶつかり合いをしたかったと思うが、うちは速い展開で得点を刻めた」と、リベンジのゲームに満足そうだった。
 29日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる決勝では、トップリーグを制したサントリーサンゴリアスと対戦する。
 布巻は、「いつも通りしっかり準備をして、自信を持って臨めるようにしたい」と静かに闘志を燃やした。
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