2007年度に日本最高峰のトップリーグに初参戦するも、わずか1シーズンで降格し、2012年度からの4シーズンはトップチャレンジシリーズと入替戦で涙をのんできた三菱重工相模原ダイナボアーズ。今季もイーストリーグを制してトップチャレンジ1に臨むも、初戦で九州電力キューデンヴォルテクスに競り負けて厳しいスタートとなったが、1月9日に福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれた日野自動車レッドドルフィンズ戦を29−7で制し、勝点5を獲得して自動昇格に望みをつないだ。
前半はやや劣勢だったが、攻めていた日野自動車にミスが重なって助けられた。
前半9分、三菱重工相模原は相手のキックをブロックしてボールを確保すると、NO8ファイフィリ・レヴァヴェが力強くゲインして次々とつなぎ、CTBニコラス ライアンが先制トライを挙げた。37歳になっても元気な元日本代表のニコラスは後半も2トライを重ねてハットトリックでチームの勝利に貢献した。
敗れた日野自動車の細谷直監督は、前半に敵陣に入る時間が多かったにもかかわらず、そこでスコアができなかったことを悔やむ。
「ペナルティゴール1本でも入れていれば、流れは少しでも変わった形で後半を迎えることができたと思う。後半は少し受けに回ってしまったところがあり、また、プレッシャーからなのか、自分たちのイージーなミスが続き、自由なコントロールができないチームになってしまった。まだまだ力不足」
それでも、日野自動車はフルタイムを報せるホーンが鳴ったあとに1トライを奪っており、次の九州電力戦へつながるスコアとなった。
勝った三菱重工相模原の佐藤喬輔監督は「日野さんのセットプレーなど、プレッシャーに対してよく対応してくれた。おおむね満足している」と試合を振り返った。「前半は守ってしのぐシーンが多かったが、後半は、まずは落ち着いて敵陣に行く選択をしよう、と話した。自陣でも、どうしても難しいことをしようとしてミスがあったので、シンプルなプレーを選択して、まずは敵陣に行こうと。ディフェンスのシステムは、前半からそこそこ機能していたと思う」
過去、嫌というほど悔しさを味わってきた西舘健太主将は、自動昇格のチャンスがある次のNTTドコモ戦へ向けて早くも闘志をたぎらせる。
「ここまで来ると技術うんぬんではない。絶対に勝つという強い気持ちが必要。絶対にトップリーグに行くんだという気持ちが強い方が上に上がると思う。(昇格への挑戦は)これまで何度も何度も経験してきたことだし、今年こそは上がりたい。ドコモ戦は試合の入り、先制点が大事になってくる。勝点5が必要だが、チーム全員が同じ方向を向いて、戦っていく。ダイナボアーズとして、イノシシ軍団なので、泥臭く、ひたむきに、80分間、戦っていきたい」