第96回全国高校ラグビー大会で本命視されている東福岡(福岡)が、1月3日におこなわれた準々決勝で京都成章(京都)に苦しめられたものの、28−22で競り勝ち、2年ぶりの3冠達成に前進した。
キックオフから10分、20分経ってもスコアボードは動かなかった。
均衡が破れたのは前半25分。東福岡が敵陣深くで、相手のラインアウト失敗によりボールを手にし、この好機にたたみかけてSO丸山凜太朗が先制トライを挙げた。
しかし、3大会連続8強入りの京都成章は29分、敵陣深くでフェイズを重ね、LO樋口誠也がタテを突いたあと左へ回し、ディフェンダーをひきつけたCTB堀毛開登からパスをもらったWTB笹岡海斗が左隅にフィニッシュ。難しい角度からのコンバージョンキックをSO西川虎哲が決め、7−7で折り返した。
優勝候補の東福岡と対等にわたり合った京都成章は後半4分、敵陣でのラインアウト後、副将のNO8中辻厳毅が力強く突進して22メートルラインに迫り、俊敏な1年生SH片岡祐二がわずかなスペースを突いてゴールに持ち込み、勝ち越した。
セットピースが安定している京都成章はさらに11分、敵陣22メートルライン手前、右のラインアウトからモールを組んで前進し、ドライブは止まらずそのままインゴールに押し込んでSH片岡が連続トライ。大きな5点を加えた。
しかし、円陣を組んで呼吸を整えた東福岡は14分、WTB山下太雅がゴールラインを割って中央まで回り込みトライ、キック成功で14−19と5点差に詰めた。
フィジカルの強さを武器とする東福岡は19分、ブレイクダウンでターンオーバーしてからボールをつなぎ、WTB焼山功雅が左サイドを破って19−19と追いついた。CTB森勇登のコンバージョン成功で逆転する。
21分にはハーフウェイでボールをもらったNO8福井翔大が力強い走りとボディバランスでタックルされても倒れず、そのままゴールに持ち込んで28−19となる。
粘る京都成章は30分、PGを決めて6点差とし、ロスタイムのワンプレーにかけたが、リスタートのキックオフボールは東福岡が確保し、しばらくキープしたあと外に蹴り出して、ノーサイドとなった。
東福岡の箸本龍雅キャプテンは試合後、後半先に2連続トライを奪われ円陣を組んだことについて訊かれると、「(残り)15分間で14点ビハインド、2トライ2ゴール1PGで逆転、という想定をした練習をやってきたので、練習通り落ち着いてやっていこうと話した」と振り返る。その後3トライを奪い返して逆転勝ちとなり、「戦い方を変えたので、そのやり方がうまくハマってよかった」とコメントした。