中学生の総決算、第22回全国ジュニア・ラグビー大会最終日が12月31日、花園ラグビー場でおこなわれ、第1ブロックは京都府中学校選抜が福岡県選抜を31−22で破り、6年ぶりの優勝を果たした。
京都は参加チームの中で体格的には小柄な方だが、攻守ともに意志統一されている。セットプレーから素早い展開力を活かしたトライと間合いを詰める組織ディフェンスが特徴だ。一方、福岡もチームの戦い方が明確で、個々は簡単に倒れない強さを兼ね備える。終盤までどちらが勝ってもおかしくない紙一重の攻防となった。
開始直後のキックオフを蹴り、ターンオーバーした京都は素早くボールをつないでFB藤田晃平が先制のノーホイッスルトライを奪う。福岡もボールを持てば前に出る。9分には敵陣ゴール前のチャンスからHO石川空悟が同点のトライを挙げた。
前半17分、京都がトライ(ゴール)を挙げて12−12とした直後。京都のキーマンSO澤井育実主将が危険なプレーでシンビンとなる。「自分が前に出て止めようと必死でしたが、その気持ちが強すぎて…」と澤井。そのシンビンから戻ったのが後半3分過ぎ。敵陣深い地点でのマイボールラインアウト。澤井は「チームメイトがそこまで耐えてくれて、笑顔で迎えてくれたのでやるしかないと」感じたと言う。直後のプレーでWTB西川賢哉のトライにつなげた。
さらにワントライを追加して迎えた11分過ぎ、福岡の猛攻を素早い詰めのディフェンスでノックオンを誘う。それでも福岡は執念が違う。谷山隼大の強さを見せつける個人技でトライを返し22−24として息詰まる攻防が続く。終了間際、京都は西川がダメ押しのトライを追加するとノーサイド。身体を張って福岡の攻撃を止めたのが得点差となった。
「(福岡の個々は)強かったですね。3本までにおさえれば勝負になると。相手からは見習うことがたくさんあったので、これからの選抜チームに活かしたい」と京都・井口隆路監督。敗れた福岡・西清則監督は「京都とやるのは楽しい。あそこまでディフェンスで詰めてこられたのは経験ないでしょう。ゲームにストレスは感じていません。両チームともよくやったと感じています」と潔かった。
京都は福岡相手ということでキックを多用して、敵陣でプレーすることを選んだ。その分、ディフェンスの時間が長くなるが、1人で駄目なら2人目が素早く戻る。そして、ラインディフェンスは素早く前に出て、間合いを詰め続けた。結果、「フィジカル差を組織で上回れた」と澤井主将。また、攻撃では地域によって個々の特徴を最大に活かしたものを準備していた。さらには、防御に接近してフラットなパスを出してゲインを突破したり、数的有利を演出する方法も巧みだった。観客席も堪能したハイレベルな戦いだけに、選手たちが再び花園に戻ってきた時が楽しみになる。
(取材:福田達)
<第22回全国ジュニア・ラグビー大会 最終日結果>
【第1ブロック】
▼決勝
・京都府中学校選抜 31−22 福岡県選抜
▼3・4位決定戦
・兵庫県スクール選抜 28−19 長崎県選抜
▼5・6位決定戦
・茨城県中学校選抜 45−24 奈良県中学校選抜
▼7・8位決定戦
・大阪府スクール選抜 26−14 神奈川県スクール選抜
【第2ブロック】
▼決勝
・愛知県中学校選抜 21−7 東京都中学校選抜
▼3・4位決定戦
・長野県スクール選抜 22−19 岐阜県スクール選抜
▼5・6位決定戦
・東京都スクール選抜 42−7 岡山県スクール選抜
▼7・8位決定戦
・北海道スクール選抜 7−5 熊本県選抜
第1ブロックで優勝した京都府中学校選抜(撮影:松本かおり)