トップリーグ。首位に立ったサントリーとの勝点差は8に縮まった前王者のパナソニックだが、残り2節、直接対決はすでに終えているとあって逆転優勝への可能性はかなり低く、日本選手権を見据えているようだ。
チームは上昇ムード。12月24日、福岡・レベルファイブスタジアムで宗像サニックスと対戦し、55−14で大勝した。
「今日一番うれしかったのは、80分間、チームが切れることなく戦い続けたこと。非常に誇りを持ったディフェンス、アタックを見せてくれた」とロビー・ディーンズ監督は試合を振り返った。
前半は15−0と競った。チャレンジャーのサニックスはいつものゲームプランを変えてこの試合に臨んだ。自陣深くからでも、どこからでもボールをキープして果敢に攻めるのがチームの基本的な考え方だが、「今日は一切ボールキープしないで、キックを蹴って前へ出るというプランだった。相手はそこを想定していなかったと思う」(サニックス・藤井雄一郎監督)。
耐えて食らいついたサニックス。しかし、前半35分にPRヘンカス・ファン・ヴィックが危険なプレーでシンビンとなり、1人少ない後半早々、パナソニックにトライを奪われ、次第に点差は広がっていった。49分(後半9分)にはSOベリック・バーンズがキックでインゴールに転がしたボールを地元出身のWTB福岡堅樹が押さえ、29−0となる。サニックスは54分、ラインアウト後にバックスも加わってモールで押し込み、観衆8,613人の大部分を占めたであろうサポーターの歓声を浴びたが、パナソニックはリスタート直後にディフェンスでプレッシャーをかけてCTB林泰基が相手の苦し紛れのパスをインターセプトしてゴールに持ち込み、すぐに流れを変えた。
パナソニックもまた、辛抱強かったのだ。集中していた。76分にチーム8本目のトライを挙げたゲームキャプテンのFL布巻峻介いわく、「80分間、スイッチオンの状態。スイッチオフの状態をつくらないことを目標にやった」。
敗れたサニックスの藤井監督は、「(パナソニックは)要所要所できっちり点を取ってくるし、強くて速い選手がたくさんいて、ウチが目指さないといけないチーム」と称えた。
勝ったディーンズ監督の表情は明るかった。
「このチームには、非常に才能のある、自分たちを表現できる選手がたくさんいる。選手たちの表現を止めることなく、そこにスキルを加えながら前向きなプレーをしていきたい。決して、自分たちで殻を作ってそこに閉じこもることなく、前向きな、いいプレーをしていきたい。日本選手権には自分たちのベストパフォーマンスをもっていきたいと思っている」
日本選手権にはトップリーグから上位3チームが出場できるが、わずかな可能性を残していたトヨタ自動車は秩父宮ラグビー場での第13節で東芝に31−32で逆転負けし、7勝6敗となって日本選手権への扉は完全に閉まった。
トヨタ自動車は2点リードで終盤を迎えたものの、残り1分で、キャプテンのFL安藤泰洋が足でひっかけて相手選手の動きを妨害したと反則をとられ、東芝はPGを狙い、SH小川高廣が決めて逆転劇となった。
秩父宮でおこなわれたもう1試合は、キヤノンがクボタを27−15で下している。
力強くボールを前へ運ぶ東芝のNO8リーチマイケル(撮影:?塩隆)
キヤノンのFLコーリー・トーマスを止めに行くクボタのLOグラント・ハッティング(撮影:?塩隆)