ラグビーリパブリック

サントリーとの全勝対決へ…。ヤマハは「建て直す力」(清宮監督)を欲する。

2016.12.23

前節の神戸製鋼戦でトライを挙げたヤマハの日野剛志と、一緒に喜ぶヘル ウヴェ(撮影:前島進)

 日本最高峰のラグビートップリーグで今季開幕12連勝中のヤマハは、12月24日、ホームの静岡・ヤマハスタジアムでサントリーとの全勝対決に挑む。就任6年目の清宮克幸監督は言う。
「全勝同士の戦い。好調なチーム同士。勝った方が限りなく優勝に近づく」
 2006年度から4季サントリーを率いた清宮監督だが、「古巣との激突」といった構図とは一線を画す。2015年2月28日の日本選手権決勝で同カードを制したことから(東京・秩父宮ラグビー場/〇15−3)、今回のゲームを今季の優勝争いの一環としてのみ捉えられる。
 入部13年目というSOの大田尾竜彦も、「競技人生のなかでも(滅多にない)。こういったわかりやすい対決は楽しみ」と意気込む。
 沢木敬介新監督、流大新主将が就任した今年度のサントリーを、「伝統的なアタッキングラグビーに新たな風が加わった。充実した時間を過ごしているのだろうな」と捉えているとし、当日は「アタマの入り」を大切にしたいという。
 大田尾、FBのゲラード・ファンデンヒーファーのキックなどで敵陣へ侵入し、一枚岩の列をせり上げるディフェンスで攻守逆転を狙いたいところか。司令塔は言った。
「前半の10分、後半の10分。それぞれのアタマの入りでミスなく、自分たちの戦いたいエリアで戦うということです」
 
 注目されるプレーの1つは、攻防の起点となるスクラムか。最前列中央のHOに入る日野剛志副将は、サントリーのスクラムへの警戒心を明かす。
「マインドが変わってきている」
 2011年度以降のヤマハは長谷川慎FWコーチの指導のもと、強固な塊を作っての押し込みに注力してきた。かたやPRの畠山健介、HOの青木佑輔ら日本代表経験者を擁するサントリーも、沢木体制下で前日本代表スクラムコーチのマルク・ダルマゾ氏を呼ぶなどスクラムを改めて強化。大田尾が「スクラム周辺でプレッシャーをかけてくる」と語るなか、日野もこう考えていた。 
「ビデオを観ていると、今年はより押す意識が強いな、と感じます。もともとすごい選手の集まりなので、意識が変わるだけで…」
 緊張感が高まるであろう実力者同士の大一番にあって、清宮監督は「思い通りにいかない時に建て直す力」が必要だと言う。長らく怪我で欠場していたSHの矢富勇毅も、ビッグゲームの復帰に向け準備を重ねる。先発出場予定で、「建て直す」のに必要なプレーの合間の声掛けがより活発になるかもしれない。指揮官も「そこが彼に期待するところです」と言葉を添えた。
 注目のキックオフは、クリスマスイブの13時である。
(文:向 風見也)
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