トップリーグ第12節。パナソニックワイルドナイツが45−17でリコーブラックラムズを下した試合会場の秩父宮ラグビー場に、赤や白いトレーニングブレーカーを身にまとった一団がいた。
背中には「香港体育学院 HONG KONG SPORTS INSTITUTE」の文字。香港からやって来た。香港体育学院(HKSI)はオリンピックやアジア大会に出場する代表選手が日常的なトレーニングをおこなう公的な機関だ。27種目約1,000人のアスリートが研鑽している。日本では国立スポーツ科学センターやナショナルトレーニングセンターが該当する。
今回は卓球、柔道、フェンシング、水泳、武道、ボウリングなど11種目の選手28名と役員8名の36名が国立スポーツ科学センターとの交流で12月15日に来日。2日間、スポーツ科学センターで講義や柔道、フェンシングなどの実技体験を受けた。
2020年の東京オリンピック関連施設なども回ったという。18日は実際に競技をおこなっている現場を探し「ラグビー」にやって来た。
実はHKSIにはセブンズの香港代表男女選手たちも所属している(今回、来日はなかった)。17種目あるAランクの扱いだ。ラグビーは身近な競技で引率のマーガレット・シュウHKSIハイパフォーマンス・マネジメント責任者は「セブンズ中心に大人や子ども合わせ60人余りが練習をしている。香港セブンズもあるので人気があり、地域で盛んにプレーされている」と話した。
フェンシング・フルーレの香港男子代表カイル・チャン(26歳)は、目の前で繰り広げられた熱い戦いをじっと見ていた。9歳のころ地元クラブで楕円球に触れた。ポジションはフライハーフ(SO)だ。楕円とは2年間ほどで別れを告げたが、フェンシングではワールドカップにも出場する選手に育った。
「とってもトップリーグはエキサイティング!香港セブンズはいつも見に行っています」
この日、リコーにはセブンズ香港代表経験者のジェイミー・フッド(今季、リコー新加入)がSHで先発した。偶然、観戦に訪れた試合で香港代表を発見し、選手たちは盛り上がっていた。試合後、フッドは応援を送ってくれた仲間のもとへかけつけた。知り合いを見つけると笑顔になっていた。
先週17日に15人制の女子日本代表と女子香港代表が女子ラグビーワールドカップ2017のアジア・オセアニア地区予選を戦い、両チームとも出場権を得た話をすると、シュウ氏は「とっても良かったです」と嬉しそうだった。2019年、日本開催の男子ワールドカップにも香港代表が出場することを2人は期待している。
(文:見明亨徳)
<香港体育学院の公式サイト>
パナソニック対リコーの試合を観戦する香港体育学院の選手たち(撮影:見明亨徳)
フェンシング代表のチャンは元ラグビーマン(撮影:見明亨徳)
試合後、リコーに所属する香港代表SHジェイミー・フッドと交流(撮影:見明亨徳)