関東大学対抗戦、リーグ戦と並行しておこなわれる関東大学ジュニア選手権大会の決勝が11月26日、今年も秩父宮ラグビー場であった。今年で38回目を迎えた準チーム同士の大会は、帝京大が35-7で東海大を下して、5季連続の頂点に立った。
互いに譲らぬディフェンスで、序盤は拮抗した。前半10分、東海大はハイタックルの反則から自陣に侵入を許すが、WTB加藤佑人が自陣ゴール前で好タックル。相手のノックオンを誘い、窮地を脱する。
しかし18分、帝京大はボールを受けた1年生CTB本郷泰司が、大外に有利な状況を生みだす絶妙なパス。敵陣左サイドを駆け上がったFB元田翔太がインゴールを割り、7-0と先制する。真紅のジャージィは35分にもラインアウトモールから連続攻撃を重ね、LO金嶺志がインゴールにねじ込んだ。体格差を活かした攻撃で、帝京大が14-0として前半を折り返した。
東海大のスコアは後半12分だった。前半まで一度もペナルティを与えなかった帝京大が、スクラムでコラプシングの反則を犯し、青いジャージィがゴール前に侵入する。ゴール前のラインアウトモールは崩れたが、ラックからモールを再形成し、歓声を浴びながらインゴールへ。NO8村松佑一朗がファイブポインターとなり、FB青木優のゴールキックも決まって7点差とした。
東海大のゲーム主将・田澤謙、丸本頼斗の両FLを中心とした守備網は重厚だった。SH小柳智嗣、SO眞野泰地のハーフバック団もバックローのように献身した。しかしわずかなゲインと反則が原因となって、じりじりと後退を許す。帝京大は途中出場のSO中村良真の多彩なキックも光った。圧力を増した帝京大は、27分に連続攻撃からLO今村陽良が、ノーサイド間際の40分にはラインアウトモールからHO大西将史がトライラインを越えた。
さらに帝京大はインジャリータイムに入り、187センチのNO8吉田杏がビッグゲイン。今季は大型WTBとして対抗戦2試合に先発出場している21歳がフィニッシャーとなり、最終スコアは35-7。白熱の好ゲームに終止符を打った。
リーグ戦は各大学のグラウンドでおこなわれるジュニア選手権だが、決勝戦だけは秩父宮でおこなわれる。控え選手が起用されることの多い大会だけに、この日が聖地・秩父宮デビュー、という選手も少なくない。
今年は東海大のゲーム主将を務めたFL田澤(4年)が、その一人だった。
「今まで4年間、上(観客席)から見ていた景色だったので、最初は緊張しました」
福島・磐城高校出身の仕事人は、この日猛タックルで何度も観客席を沸かせていた。トップスピードで突き刺さる代償として、前半だけで2度、聖地の芝に倒れ込んだ。それでもノーサイドの瞬間まで果敢なプレーを続けた。
「ジュニアでも1位になることで、チームを底上げして、活気づけたいと思いました」(田澤ゲーム主将)
その心意気ならば、プレーではっきりと示して見せた。
大学ラグビーはいよいよ佳境を迎える。5大会ぶりにトーナメント制(ノックアウト方式)でおこなわれる大学選手権は、11月27日(日)に1回戦が始まった。関東・関西各リーグの優勝校が登場する準々決勝は12月17日(土)からスタートする。
2017年1月9日(月・祝)の決勝の舞台に辿り着くのは、果たしてどのチームだろうか。
(文/多羅正崇)