第53回全国大学ラグビー選手権大会が27日に福岡・レベルファイブスタジアムで開幕し、福岡工業大(九州代表)が東北学院大(北海道・東北代表)との1回戦を85−7で制して2回戦進出を決めた。
福工大は開始1分でハーフウェイ付近のバックス展開から先制し、その後も立て続けにゴールラインを割って計13トライ。打倒・九州勢を目標に掲げ、岩手を本拠地とする釜石シーウェイブス(トップイーストDiv.1)の胸を借りて、ブレイクダウンやタックルを強化してきたという東北学院だったが、開始早々の失点で落ち着きがなくなり、「東北にはいないようなランナーが向こうのバックスリーにはいて、対応しきれなかった」(東北学院大・木村剛ヘッドコーチ)。
福工大はスクラムでも圧倒。
大学選手権初勝利を手にできず、試合後の会見でも悔しさをにじませていた東北学院のCTB堀内雄翔キャプテンは、「力の差を感じた。この1年間、いい練習をやってきたつもりだったが……。全国レベルで勝つには、まずはセットプレーの安定が重要だと改めて感じた。東北にはいいライバルがいるので、切磋琢磨して東北全体のレベルを上げていくことが大事だと思う」と語った。
福工大はFWの頑張りもあってテンポよくバックスに展開し、切れ味鋭いランナーたちが躍動した。池松佑眞、江藤拓也の両WTB、FB江島慶らが好走を連発したが、今後、タフな相手との試合でキーマンとなるのは目黒学院高校出身のトンガ人CTBソセフォ・ファカタヴァだろう。身長186センチ、体重118キロのパワフルランナーであるファカタヴァがディフェンス側の人数を集めるため外のスペースが作りやすい。オフロードパスも巧みであり、そこに他の選手がうまくリンクできるかがカギとなる。
東北学院戦で大量リードしたためか、福工大は同じパターンの攻撃が続き、オプション選択に苦言を呈した宮浦成敏監督は、「サイズが大きく、器用で、スピードもあり、オフロードが得意な彼(ファカタヴァ)の使い方がうまく機能していない。彼を使うときと、彼を使わないでダミーで行くときと、そのへんの駆け引きのコミュニケーションはまだまだ」と語った。
福工大は、過去3大会はファーストステージで敗退し、その内の2回は朝日大(東海・北陸・中国・四国代表)に黒星をつけられた。今季はベスト8を目標に掲げる。だから、2回戦でぶつかる朝日大は絶対に倒さなければならない。
「関東、関西勢に勝つという目標を掲げてやってきたが、いまは目の前の朝日大戦に勝つことだけを考えたい。その次のことはあまり考えたくない。次の試合に出しきらないと、あとはない」と宮浦監督。キャプテンのNO8原田謙次は東北学院戦の前半29分に左足首を負傷して交代し、会見には松葉杖をついて現れたが、「去年も同じところをやっているので、クセになっている場所。去年も怪我したあと、復帰して試合に出ているので、次も大丈夫だと思う」と力強く語った。
朝日大×福岡工業大の2回戦は、12月3日に愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でおこなわれる。