ラグビーリパブリック

わくわくする日々。セブンズ日本代表、中尾隼太(鹿児島大4年)の充実。

2016.11.26

175?、82?の体躯。柔らかな動きと広い視野でよく抜ける。(撮影/松本かおり)

 所属チームの欄に鹿児島大。セブンズには夢がある。
 ダミアン・カラウナ新ヘッドコーチ体制の初陣となる「HSBC ワールドラグビーセブンズシリーズ 2016-2017」の第1戦、ドバイ大会(12月2日〜3日)。同大会に参戦する男子セブンズ日本代表に鹿児島大の中尾隼太(なかお・はやた)が選ばれた。同選手は11月17日から千葉でおこなわれた候補合宿中に言った。
「わくわくする毎日です」
 心が躍る理由は、その環境だ。世界を知るヘッドコーチの指導を受けられる。高いレベルでプレーしている選手とともにトレーニングし、外国人選手たちもいる。
「普段は自分たちで考えて練習したり、活動をしています。だから、今回の合宿のようにいろんなものを与えてもらえることにわくわくしています」
 長崎北陽台高校出身で教育学部の4年生。ラストイヤーは主将を務め、岩手国体の成年男子(セブンズ)では鹿児島県チームの司令塔を務め、チームを準優勝に導いた。その活躍が認められて候補合宿に招集され、ドバイ行きの切符をつかんだ。
 教員になる夢を胸に鹿児島の国立大学へ進学した。部活動で真剣に楕円球を追い続け、将来は故郷・長崎に戻って指導者に。そんな人生設計図を描いていた。
 南国での日々は充実していた。強豪・福岡大学に勝ったり、全国地区対抗大学大会に出場し、そこで準優勝したり。この春には九州学生選抜に選ばれて同志社大と戦い、背番号10を背負って活躍(結果は34-48)した。もともと知る人ぞ知る存在だった男が、その試合での際立った活躍でトップリーグリクルーターたちの目に止まる。「うちでやってみないか」といくつかのオファーが届いた。
 教員へ。その初志と、ラグビーへの情熱の狭間で悩んだ。
 高校時代の恩師・品川英貴監督は、社会人の強豪(東芝)でトッププレーヤーとして活躍した後、教壇に立った人だ。進路のことを相談した。
「将来教員になれる保証はないが、社会人生活を経てそこを目指すのもひとつの道。(ラグビーに)挑戦してみていいと思う」
 そんなアドバイスをもらった。覚悟は決まった。
「自分の中に、誰かに見ていてもらいたいとか、上(のレベル)に行きたいとか、そういう気持ちはまったくなかったんです。チームとして、自分たちより強い相手にチャレンジしたい。そう思ってプレーしてきた中で評価してもらえて、チャレンジできる機会をもらえたことが嬉しいですね」
 正月の全国地区対抗大学大会への出場も決まっている。
 自身の特徴を、こう話す。
「足も速くないし、コンタクトも強くない。頭を使って仕掛けたり、いいランナーにいい条件でパスを出してあげたり、そういったプレーをしたいと思っています」
 ドバイに向かうメンバーには、パワーのある外国人選手も多く、日本人選手にはスピードスターもいる。彼らの力を引き出したい。
 わくわくする舞台が待っている。
Exit mobile version