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三菱重工相模原、トップイースト優勝! 「4度目の正直」に向けた手応えとは

2016.11.20

三菱重工相模原のSH西舘健太主将。写真は9月のセコム戦(撮影:松本かおり)

 鉛色の空とナイフの風に包まれた屋根付きのメインスタンドは、ほぼ満席だった。公式入場者数は「2500人」と決して多くはなかったものの、両企業の社員が「己のチーム」のプレーに声を枯らしていた。
 11月19日、神奈川・相模原ギオンスタジアム。地域リーグにあたるトップイースト(TE)Div.1の大一番があった。3連覇中の三菱重工相模原と、前年度まで前年度まで9、7、4、4と順位を上げてきた日野自動車の全勝対決だ。
 国内最高峰のトップリーグ(TL)昇格を目指すチーム同士の対戦は、上位常連の三菱重工相模原が34−0で完勝。三菱重工相模原はTE4連覇を決め、TL行きを目指す「トップチャレンジシリーズ1」へ進んだ。
 先発メンバーに海外出身選手を6人並べた三菱重工相模原は、強力ランナーを軸に攻め立てる。前半2分に相手のミスから先制点を奪い(7−0)、その後もFLリシュケシュ・ペンゼ、NO8ファイフィリ・レヴァヴェらが突破を重ねた。試合中盤こそ日野自動車の献身的な組織防御を前にミスを続けたが、佐藤喬輔監督はこう振り返る。
「選手は試合前から冷静で、いいゲームをしてくれた。この試合のコンセプトは攻守ともに我慢、です。しっかりキープしてフェーズを重ねればトライまで行ける…と伝えていました」
 日野自動車は、7人制ニュージーランド代表のFB、ギリース・カカがハイパントキャッチと鋭いランで魅せる。守っては帝京大卒のルーキーFLである小野貴久らが、肉弾戦でしぶとさを示した。WTBに入った片岡将も、絶妙なライン参加やミスボールへの反応で渋く光った。
 しかし、0−10とビハインドを追う前半終了間際。敵陣ゴール前まで進んだもののターンオーバーを喫す。さらに直後のロスタイム44分、フェーズを重ねられて追加点を許した。
 ここでトライを決めたのは、神戸製鋼から移籍のHO安江祥光。敵陣22メートルエリア左中間で対面のタックルをかわすと、そのままインゴールまで突っ切った。「あれはチームのトライです」と笑い、指揮官と同じく「我慢です」と述懐した。
「ビッグゲームほど規律を重んじる。チームを裏切らない。前半、ああやって取り切って追われたこともよかった」
 後半は3分にペンゼが加点するなど、終始、三菱重工相模原ペースとなった。スクラムで奮闘した日野自動車HOの崩光瑠は「結末がミスで終わったことが多かった」と悔やみ、相手のパワーをこう認めた。
「ぐりぐりと食い込まれるところもあった。課題は、たくさんあります」
 勝った側は過去3シーズン、入替戦で涙をのんでTL復帰を逃している。それだけに安江も、「この試合へ賭ける思いもありますけど、フォーカスはTL」と話す。佐藤監督も、1月からのトップチャレンジシリーズへ決意を新たにする。
「1か月くらいの準備期間がある。これから、その試合ごとのゲームプランを作ってゆきます」
 TLにいた2007年度は主将を務め、FWコーチから指揮官となって2年目。チームの成長を感じている。
「規律が高まった。反則数が減った。安江にせよ、トーマス(優デーリックデニイ、トヨタ自動車から参戦のLO)にせよ、新加入の選手がいい影響を与えてくれています。ウチの文化に適応してくれている」
 両者が目標のTL昇格を果たすには、「トップチャレンジシリーズ1」に出場してトップになるか、今季のトップリーグ下位チームとの入替戦に勝つ必要がある。このほどTEを制した三菱重工相模原はその挑戦権を獲得。敗れた日野自動車は、残り1試合(11月26日の日本IBM戦/日野グラウンド)を経てトップイースト2位以内に入り、かつ「トップチャレンジシリーズ2」を制さなければならない。
 敗れた細谷直監督は、「前半にミスがあって、受けてしまった。チームのベースはある。次のIBM戦でトップチャレンジ行きを決めて、もう一度、三菱重工相模原と…」と宣言。ステージアップのための戦いは、ここから最終局面を迎える。
(文:向 風見也)
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