ラグビーリパブリック

慌てなかった流経大柏。22年連続24回目の全国へ。

2016.11.20

千葉県予選決勝で後半32分にトライを挙げた流経大柏のSO相澤(撮影:多羅正崇)

 第96回全国高校ラグビー大会の千葉県予選決勝が11月19日、柏の葉公園総合競技場でおこなわれ、流経大柏が専大松戸を54−7で下し、22年連続24回目の出場を決めた。BK・FWで4トライずつ、合計8トライを奪って圧倒した。4年連続の同カード対決を制した相亮太監督は、「花園で勝つためにしっかりと準備をしていきたい」と西の聖地を見据えた。
「歴史変えるぞ!」
 試合前、専大松戸フィフティーンの間で、熱いゲキが飛んだ。流経大柏が刻んだ、21連覇という歴史への挑戦だ。すると前半4分、伝統の緑×白のジャージィが、その歴史に揺さぶりをかけた。
 専大松戸の町田裕一監督は、狙い通りの展開だったと話した。
「流経さんがプレッシャーを受ける状態を作り出して、チャンスを得たらスコアまでつなげたかった。しっかり(トライを)取り切ってくれたのは良かったかなと思います」
 相手の反則で敵陣に入ると、スクラムサイドを突いたNO8中山皓一朗が、中央へ先制トライ。“新たな歴史”の予感に、曇り空の競技場がどよめいた。
 流経大柏のCTB中川彪流主将は、この失点を「予想外だった」と振り返る。しかしもっと驚いたのは、被トライ後のチームメイトの様子だった。
「(被トライ後)みんなを見たら焦ってなかったので、あらためてみんなのことを尊敬しました」
 王者は慌てなかった。前半12分、中川主将みずからインゴールを割って同点に追いつくと、22分、25分と立て続けにラインアウトモールからトライを奪った。相監督が「(ゲーム)プランはある程度、彼らに預けています」と語る通り、この日のモールを軸とした戦略は選手が中心となって用意した。「まずは、スコアを絶対に取れるモールで行こうと思いました」(中川主将)。
 26−7で前半を折り返すと、流経大柏はFL坂本侑翼を中心とした強力FWが躍動。日頃から練習しているオフロードパスがラック周辺で決まって、次々とビッグゲインをする。FWを前面に押し出した戦いぶりで、後半6分にはFL染谷一徹、10分にはNO8大野立嘉がスコアラーになった。
 一方の専大松戸は、終盤になって攻め込む時間帯もあったが、流経大柏の組織ディフェンスに阻まれた。その後2トライを追加され、ファイナルスコアは54−7。戦い抜いた教え子たちを、町田監督は「よくやってくれたと思います」とねぎらった。
 勝利した流経大柏・相監督は、今日の点数を尋ねられると「50点にします」。しかし時折、満足気な笑みものぞいていた。
「考えてプレーするところに関しては、非常に良かったと思います。あとはスキルの実行力の部分ですね」
 
 昨冬の花園では、石見智翠館(島根)に19−24で競り負け、ベスト16に終わった。考えてプレーするラグビーで、今季は「ベスト8以上」(中川主将)を目指す。昨季のチームを越えて、花園に“流経”の戦いを刻みつける。
(文:多羅正崇)

前半22分、流経大柏のトライが生まれたラインアウトモール(撮影:多羅正崇)

専大松戸の町田監督と部員たち(撮影:多羅正崇)
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