ラグビーリパブリック

パナ・北川智規、大台達成ならず。「99」の次を逃し、「やってもうた!」。

2016.10.17

小野澤宏時(現キヤノン)に次ぐ2人目のリーグ戦通算100トライにあと1つと迫った北川智規(撮影:?塩隆)

 ファンから「大台」を期待されながら、80分間、プレーした。
 結局、記録達成は持ち越しとなった。「すいませんでしたっ!」。パナソニックのゲーム主将を務めた北川智規は、おどけて頭を下げた。ともあれ、国内最高峰のトップリーグで史上2人目となる通算100トライまであと「1」と迫った。
 10月16日、埼玉・熊谷陸上競技場。コカ・コーラとの第7節に、WTBとして先発した。前半6分には先制点となる通算99トライ目を決め、スタンドを沸かせた。
 31−7のスコアで迎えた後半8分頃、大きなチャンスに出くわす。ハーフ線付近右タッチライン際でパスを受けると、やや立ち止まってからまず大外へ駆け出す。途中で中央方向へ進路を変え、サポートについたSH田中史朗へ球をつなぐ。
 そのまま田中をサポートし、目の前のトライラインを見据えたはずだった。ところが田中のパスを後ろにそらし、通算100トライ目の機会を逃してしまった。
「素晴らしいリーダーシップを発揮してくれましたが、100トライ目を取るのはまだ早いという判断だったのでしょう」
 ロビー・ディーンズ監督がこう笑うなか、当の本人も悔しそうに振り返る。
「スペースがある状態でボールをもらって、そこからいろんなコースが見え過ぎて迷ってしまった。もっと積極的に、『ガッついとるなー』と思われる感じで行けばよかった。最後のフミとのところは、『あれ、フミ、自分で行くんや』と思ったために(パスを受け取る)テンポが遅れてしまって。『やってもーたー!』という感じです」
 
 45−12で勝利。それでも内容には不満足だ。テンポよく攻撃を進めるなかで、ボールがつながらない。試合終盤の戦いにそんな感想を抱いたためか、「プレーが軽くなることが多々あった。ターンオーバーを取った後にターンオーバーをされたりと、質の悪いラグビーをしてしまった」。基本に立ち返るべきだと反省する。
「しっかりとボールをキープするとか、相手に付き合わないようなプレーをすれば、もっと締まった試合ができた。前に出た時こそしっかりとボールを抑える…とか、当たり前のことを当たり前にできればいいなと思います。前半、僕のノックオンからペースが悪くなり、自陣からの脱出が遅れたこともありました。ゲームキャプテンなのに」
 トップリーグ3連覇中の王者だが、今季はすでに2敗を喫している。スーパーラグビー参戦のため開幕直前までチームを離れていたメンバーも多く、ディーンズ監督も「(故障者の代役などの)若い選手が成長を見せ、いま、ひとつになってきている」。失敗を糧に大きくなっているのが現状だ。
 次は22日、キヤノンとの第8節に挑む(東京・町田市立陸上競技場)。記録達成とクラブの成長は見られるか。
(文:向 風見也)
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