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【関東大学対抗戦A】早明開幕3連勝も敗者に見所。日体大はきっかけつかむか

2016.10.17

日体大BKは開幕から3試合ノートライが不思議なほど、攻める気持ちがあった(撮影:長岡洋幸)

 10月16日、群馬県の浜川競技場で関東大学対抗戦Aの2試合がおこなわれ、早大が日体大を45−40、明大は筑波大を48−28と破って開幕3連勝したが、敗者の奮闘が目立った。
 第1試合は早大が開始10分間でスクラムを軸に12−0としたが、14分に日体大はラインアウトのターンオーバーから展開してCTB城大二郎がアングルを変えて走り込んでトライ。これが4戦目にして日体大の今季初トライだった。さらに効果的だったのは、早大SO岸岡智樹の深いパントに対して、中盤の空いたスペースにハイパントを蹴り返す。これに何度も競り勝つと、BKが外で勝負して計6トライを挙げた。
「BKが取ってやろうという気持ちになった。これまでも勝負できたのに出せなかった面はありました。ようやく、積み上げてきた部分を試合で出せた。相手どうこうよりも、自分たち次第なんだと分かってくれたでしょう。負けて泣いている姿を見て、次からも出してくれると思います。あとは次への準備です」と日体大・田沼広之監督。
 これまではミスマッチであっても、消極的になってパスを出してしまう時もあったが、この日はとにかく攻めた。ボールがあれば取れると分かったが、7トライを許したのはこれから意識したい面。我慢する時間帯が増えれば、やがてチャンスは巡ってくるのだ。残り3試合が試されることに。かつてランニングラグビーで華やかな時代を築いたコーチ陣も、少しは笑顔が戻ったかもしれない。
 14時キックオフの明大×筑波大戦は、後半なかばから明大が突き放し、3連勝。筑波大はこれで1勝3敗となり、大学選手権の可能性はゼロではないが、苦しくなった。
 前半は、先行する明大を筑波大が追いかける展開となり、20−14と明大がリードして折り返す。ただ、後半は筑波大が支配した。3分、8分とFWの奮闘からBKがトライを挙げる筑波らしい展開に持ち込んだ。特に、敗れた慶大、早大戦とは違い、昨年までのブレークダウンでの激しさ、内側を破らせないディフェンスが機能。ターンオーバーからBKが素早く展開した。
 後半8分に28−20としたが、27分には明大にゴール前でモールを組まれ、この日復帰したPR祝原涼介にトライを許す。さらに、31分、35分と明大の新フィニッシャーWTB山村知也に2トライを献上して、28−48でノーサイドを迎えた。
「防御とブレークダウンに焦点を絞り、気持ちも入り、60分間は良かったですが、最後はミスから自滅です。自分たちのラグビーをようやく出せましたが、残りを同じ気持ちでやるだけ」と筑波大FB忽那健太主将。
 これまでスロースターターと言われ、大学選手権で急浮上するシーズンも多かった。ただ、大学選手権出場枠も減り、今季は序盤勝負を合言葉にチームを作ってきたが、持ち味を出せない3試合を終え、ようやく本来の姿を見せる。大学選手権の道程は険しいが、最終戦に組まれた帝京大戦にどう戦うか。そのヒントはこの日見せた一人ひとりのファイトにある。

ダブルタックルも決まり、ペースを次第につかんだ筑波大(撮影:長岡洋幸)
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