<ジャパンラグビートップリーグ 2016−17 第7節>
NEC 14−33 サントリー
(2016年10月15日/千葉・柏の葉公園総合競技場)
開幕6連勝中のサントリーは、序盤から攻めを加速させる。接点に滞留する相手のタックラーをその場で押さえ込み、素早く展退しないノット・ロール・アウェーの反則を誘う。仮に笛が鳴らずとも、後ろに並ぶ攻撃ラインが空いたスペースをえぐる。テンポを止めない。
前半10分、敵陣中盤右のラインアウトから展開し、中央の密集にNECの防御をかき集める。
さらに左へ球をつなぎ、CTBナイジェル・アーウォンが豪快なランで先制した。スコアは7−0となる。
対する2勝4敗のNECも、無策ではなかった。
グラウンドの端まで攻め切ったサントリーが中央方向へパスを折り返した先へ、束で圧力をかけた。
ピーター・ラッセル ヘッドコーチの解説はこうだ。
「サントリーは1、2次目のラックが強い。3、4次目のラックでスティールを…」
もっとも、球を奪うには至らず。指揮官はこう悔やむほかない。
「本当はその3、4次目の地点にさらに選手が加わって、ターンオーバーを取りたかったのですが」
18分、サントリーは敵陣22メートル線付近左のスクラムから右へ球を回す。好調のFB松島幸太朗、WTB中?隆彰と順に前進し、今度は左に楕円がつながる。せり上がったNEC防御網の裏へ、SO小野晃征がキックパス。WTB竹下祥平が飛び込んだ。ゴールも決まり、14−0。
19−0のスコアでハーフタイムを迎えたサントリーの沢木敬介監督は、ここから徐々に中核選手を交代させる。長期シーズンにおける体調管理や選手層拡大の観点から決断したのだが、結果やいかに…。
「求めている選手の活躍を引き出せなかったです。選手自身も、自分のパフォーマンスを出すための準備を考える必要がある。ミスりました」
後半9分に26−0と点差を広げたあたりから、サントリーはNECの活力を引き出すこととなる。連携の声が薄れたためか、守備のポジショニングの遅れを突かれてぐいと攻め込まれる。26分には自陣ゴール前でラッシュを浴び、LO廣澤拓にインゴールを割られた。26−7。
続く31分も、トライラインを背に我慢を強いられる。
対するNECのSH茂野海人は、密集から球を持ち上げては間を作り、一転、速いモーションで強いパスを投げる。
日本代表復帰を目指す25歳のバトンを最後に受け取ったのは、代表常連のSO田村優。トライとゴールを決め、26−14と迫る。
この時のサントリー陣営は、司令塔のSO小野やエースのFB松島、スクラムの要であるHO青木佑輔らを退けていた。ノーサイド直前には優勢だったスクラムからだめを押したが、後半11分に引き下がったSH流大主将も「そこまでの過程が良くなかった」。NEC側もSO田村ら数名が、巻き返した要因を「相手が主力を下げたから」と語るのみだ。
リーグ戦は中盤。開幕からの歩みを受け、各チームとも新陳代謝を図る時期だ。勝った側も負けた側も、この日をさらなるジャンプアップの序章にしたい。
(文:向 風見也)