開幕から5連勝のサントリーと、下部から昇格してきたばかりのチームながら東芝も倒して4勝1敗と勢いに乗る宗像サニックス。好調チーム同士がぶつかった注目の一戦は、予想外の大差がついた。サントリー、強し。10月8日に長崎・かきどまり陸上競技場でおこなわれたトップリーグ第6節、サントリーが序盤からスクラムで圧倒して試合を優位に進め、41−8で快勝。6トライを挙げてボーナスポイントも獲得し、首位を争うヤマハ発動機にプレッシャーをかけた。
長崎は雨となった。セットピースで苦戦した宗像サニックスは、ミスもあってなかなかボールを支配できず、得意の攻撃力を発揮することができなかった。
「できれば晴れたなかでやりたかった」と敗れた藤井雄一郎監督。「もっと自陣から攻めていきたかったが、中途半端なキックだとか、自分たちで持ち込んだボールをミスしたりだとか……。今日は雨だったのがウチにマイナスに働いた。でも、晴れていても点数はこれくらい離れていたかもしれない。サントリーが強かった。立ち上がりのスクラムで崩されたのが大きかった」
劣勢になりながらも粘り強いディフェンスをしていたサニックスだが、ゴール前で攻め続けていたサントリーは前半18分、WTB中?隆彰がパワフルに壁を破って先制する。
33分には、序盤から優勢だったスクラムで押し崩してNO8竹本隼太郎がトライ。その直前、サントリーは相手ボールスクラムをターンオーバーして活気づき、サニックスは反則の繰り返しでPRヘンカス・ファン・ヴィックがシンビンとなったのも響いた。
ファン・ヴィックに替わって途中から右PRに入った石澤輝は試合後、「サントリーはヒットがすごいというよりは、組んだ後のセカンドプッシュが強かった」と振り返る。「HOの青木さん(佑輔)からものすごいプレッシャーを感じた。対面の石原さん(慎太郎)は昔から知ってるんで強いのはわかってたんですけど、青木さんはうまかったというか、強かった。2番と1番で3番のスペースをつぶしに来ている感じがした」
ハーフタイム前、サントリーはスクラムからのアタックでFB松島幸太朗がゴール前右に迫り、素早いリサイクルで連続攻撃、最後は松島がスピンを使ってインゴールにねじ込み、19−3と主導権を握った。
「序盤からスクラムでしっかりプレッシャーをかけて、相手がギブアップと思うくらいの強いスクラムでしっかりコントロールしよう、と臨んだ。結果的にすごくいいプレッシャーをかけていたと思う。この悪天候のなか、選手たちは自分たちがコントロールできるところはガマン強く、しっかりいいコミュニケーションをとりながらプレーできていたと思う」(サントリー・沢木敬介監督)
サニックスは50分(後半10分)に連続オフロードからキャプテンのFL田村衛土がファイブポインターとなったが、奪ったトライはこの1本だけ。サントリーはしぶといディフェンスも光った。
何度かブレイクダウンでターンオーバーするなど流れを変えるチャンスはあったサニックスだが、直後のラインアウトでオブストラクションの反則を犯すなど、自滅も大差がついた要因となる。
波に乗れない相手とは対照的に、サントリーは56分、WTB竹下祥平のカウンターでチャンスを作り、速いテンポの展開からボディバランスのいいWTB中?がフィニッシュ。64分にはツイ ヘンドリックが中央を突破してゴールに持ち込み、70分にはWTB中?がハットトリックを決めて快勝となった。
6連勝(総勝点27)で暫定トップに立ったサントリーは次週、千葉・柏の葉公園総合競技場でNECと対戦する。4勝2敗(総勝点16)となった宗像サニックスは、15日に東大阪市花園ラグビー場でクボタに挑む。
10月8日には埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場と大阪・東大阪市花園ラグビー場でも試合がおこなわれ、史上初の4連覇へもう負けられないパナソニックは、NECを51−26で下し、4勝2敗(総勝点19)となっている。NECは2勝4敗(総勝点9)。
同じ熊谷では、キヤノンが豊田自動織機に31−14で勝ち、4連敗で止めて開幕節以来の白星となった(総勝点10)。豊田自動織機は6連敗(総勝点2)。
東大阪市花園ラグビー場では、トヨタ自動車がホームチームの近鉄に25−19で競り勝ち、連敗ストップ(4勝2敗=総勝点19)。近鉄は2勝4敗となったが、7点差以内の敗戦だったためボーナスポイント1点を獲得している(総勝点10)。
花園では神戸製鋼×リコーもおこなわれ、神戸製鋼が前半をリードするも後半に3トライを奪われ逆転されたが、試合終了2分前にFBコディ・レイが逆転トライを挙げ、45−39で大きな勝点4を手にしている。
神戸製鋼は5勝1敗(総勝点23)で3位をキープ。惜しくも白星を逃したリコーは2勝4敗となり、ボーナスポイント獲得で総勝点10となった。