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敗れるも拓大の奮闘光る。開幕3連勝の東海大に笑顔がなかったワケ。

2016.10.03

8トライを奪った東海大だったが、その内容に納得できず。(撮影/多羅正崇)

 勝利監督に喜びの表情はなかった。
 第3節を迎えた関東大学リーグ戦1部は1日、神奈川県・秋葉台公園球技場で1試合をおこない、東海大が拓大を52−10で退け、開幕3連勝とした。PR具智元など強力FWを誇る拓大だが、昨季のリーグ戦王者の壁は厚かった。FWのドライビングモールからBKの縦突破まで、リーグ戦の雄は多彩な攻撃で8トライを奪ってみせた。しかし42点差で勝利したはずの東海大・木村季由監督に、笑みはなかった。
「激しく前に出てディフェンスをする、そこからターンオーバーにもっていけるっていうところは辛抱強くやれていたので、そこは良かったかなと思いますけど――。きょうは反省すべきところの方が、多い試合でしたね」
 序盤は東海大のペースだった。先制点は前半8分、敵陣ゴール前のラインアウトモールからインゴールをこじ開けた。チーム内に5人いる日本代表キャップホルダーのひとり、FB野口竜司のGKも決まって7−0とすると、12分、16分と立て続けにトライラインを越え21−0とリードする。
 スクラムでも優勢だった。東海大は前半、拓大ボールのスクラムをターンオーバーするなど、スクラムに期待する拓大ファンの声援を、何度もため息に変えていた。日本代表3キャップのPR三浦昌悟は、スクラムが優勢だった理由についてこう説明する。
「3番の具選手が軸なので、そこを1、2番でちゃんと押す。それが型にハマりました」
 
 ところが、だんだんと東海大に停滞ムードが漂う。主な原因は、度重なる反則だった。前半24分には、オフサイドの反則から自陣ゴール前に侵入され、拓大に1トライを返された。さらに28−5と東海大リードで迎えた後半。スクラムの優位も崩れ始める。拓大の遠藤隆夫監督が、ハーフタイム中にスクラムに修正を加えていた。
「うちの1番(PR河田和大)はまだ1年生で、経験値が足りず、前半は対応策が分からなかった。後半は(スクラムの修正の)方向性だけを伝えたら、その通りに組めました」
 拓大PR具智元も、自己採点で100点満点中「20点」だった前半の自軍スクラムが、後半に入ると「7、80点くらい」に改善されたという。53分には相手スクラムを中央でふたつに割き、63分には8人一体で力強く押した。
 
 しかし局所戦で好勝負を演じても、多士済済の東海大は、グラウンドを広く使って瞬間的にトライを取りきってしまう。後半でもさらに4トライを追加。パワフルな突進で2トライを挙げたCTB池田悠希の活躍も光った。ファイナルスコアは52−10。しかし、結果的に16回の反則を重ねた東海大に、「快勝」のムードはなかった。
 東海大・木村監督は、次戦の法政戦について尋ねられると、「対戦相手うんぬんというよりも、一戦一戦、自分たちのスタンダードをしっかり保ちながらレベルを上げていく、ということがやるべきこと」と厳しい表情を崩さなかった。「一試合で『出来た・出来ない』ということではなくて、どういうことをしたいのか、何をしなきゃいけないのかという部分にフォーカスを当てて、一戦一戦、戦っていきたいと思います」
 一方、開幕3連敗となった拓大の遠藤監督は、「簡単に点を取られてしまった。内容的にいったら競ってもいいゲームなんですけど」と悔しさをにじませながらも、次戦の大東大戦へ向けて、どこか充実した様子で前を向いた。「(拓大は)自信を持って戦っていけば良いゲームができるし、良いゲームができたらレベルアップしていく。その一つひとつを、クリアしていきたいと思います」
(文/多羅正崇)
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