10月2日、秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦Aの2試合が組まれ、慶大と早大が2勝目を挙げたが、筑波大は2敗目となり大学選手権出場の4位以内には負けられない状況となった。
第1試合は慶大が13トライを挙げて、成蹊大を85−7と圧倒した。特に前半は成蹊大のファーストタックルでミスも多く、簡単にゲインラインを切ると、SO古田京、CTB堀越貴晴が素早い判断でボールを散らす。
「若い選手が多く、フロントスリーの判断は良かったと思います。これから勝ち抜くには、慶應のスタイルをもっと出さないと。それはディフェンスでのプレッシャーとブレークダウンの面。慶應らしいラグビーをしていると言われるぐらいディフェンス面を強みにしたいですね」と金沢篤ヘッドコーチ。
敗れた成蹊大にとっては3年ぶりの秩父宮。SH平丸敬大主将は、「昨年の先輩たちが連れてきてくれた秩父宮です。だから、もう少しやりたかった。最後の10分間にようやく持ち味を出せたので、これを頭に入れて最後まで戦っていきます」と話した。
対抗戦序盤の大一番。早大と筑波大は過去2勝2敗も、早大が勝っても僅差の試合で、近年は苦手なチームだった。ただ、この日の序盤は早大が支配。スクラムで主導権を握り、ブレークダウンでも制圧した。さらに、1年生HB団の齋藤直人、岸岡智樹が乱れないゲームコントロールを見せる。ミスなくプレーを出せるだけでなく、空いているスペースに躊躇なくキックを蹴る。これは近年になかったプレーで、山下大悟監督も「1年生は度胸があるから使っています。もともと、持っているテクニックが試合でスキルとして活きている。パニックにもならないので、このまま成長してほしい」と試合後に振り返った。
後半6分に怪我で退場したが、FL加藤広人がキックチェイス、ディフェンスで躍動。役割が明確になり、長所の部分が出せる。2年前のプレーぶりが戻ってきた印象だ。
「スクラムもそうですが、ディフェンスとブレークダウンで勝負したい。これを春から積み重ねてきたので、そこの部分で上回れたのは収穫です」(山下大悟監督)
最終スコアは46−12。筑波大は痛い2敗目を喫したが、後半は見違える戦いぶりで、モールから何度もチャンスを演出。ただ、前半はラインアウトでのミスもあり、強みの部分を出せなかっただけに、修正が急がれる。
「スクラムもそうですが、1対1でシンプルに負けた。ひとつのミスの重さ、大切さを改めて感じた試合なので、これからの残り試合に活かさないと。チーム全員で選手権のために強い気持ちで勝負するだけです」と筑波大FB忽那健太主将は前を向いた。
懸念されるのは秩父宮ラグビー場の状態。週末になると多くの試合が組まれ、芝がはがれるのが例年以上で、前日のトップリーグでも下半身の怪我が多発した。それは激しさが増している現在のラグビーの状況もあるが、使用過多もあるかもしれない。日程は変えられないが、来期以降の検討課題になる。
(文:福田達)
慶大はスクラムでも昨年以上の印象が強い(撮影:松本かおり)