ラグビーリパブリック

【現地発】好敵手復活は朗報も…。女子セブンズ日本選抜、中国に屈す。

2016.09.26

中国に悔しい逆転負けの女子セブンズ日本選抜。写真は鈴木実沙紀。(撮影/南 大庸)

 ホーンが鳴り、ラストプレーとなるキックオフマイボールを鈴木実沙紀がキャッチすると、観客席から歓声が上がり、同点への期待が高まった。しかし最後は、ボールをキープしきれず、女子中国代表がタッチへ押し出してノーサイド。女子セブンズ日本選抜は14-21で敗れ、韓国大会は準優勝に終わった。
 9月24日から韓国・仁川でおこなわれていたアジア ラグビーセブンズシリーズ2016 第2戦・韓国大会。最終日の25日には順位決定戦が実施され、女子の部の最上位トーナメントのカップ決勝戦では日本選抜と中国代表が戦った。
 その試合、日本選抜は清水麻有のトライで先制してさらに畳み掛けようとゴール前に迫るも、マイボールスクラムでアーリープッシュの反則を取られる。そこからいっきに走られて同点に追いつかれた。また前半終了間際にもラストプレーからのキックを起点にリードを奪おうと試みたが、逆にトライを許してしまった。
 女子日本選抜は後半に入っても苦しんだ。
 中国代表の長いリーチでのプレッシャーに抗えず、ブレイクダウンの攻防で何度も劣勢を強いられた。そして敗戦。山中美緒主将は「これだけミスが続けば勝つことができない」と悔やみ、稲田仁ヘッドコーチは「積極的にボールを動かすラグビーにフォーカスして大会に臨んだが、香港大会でも課題であったプレーの精度を修正しきれずに綻びが出た。それが敗因。ワールドシリーズクラスならたちまち失点へとつながるだけに、コミュニケーションを高めて、精度を高めることが今後の課題」と話した。
 ただ同ヘッドコーチは「清水、末結希、堤ほの花の若い戦力が積極的に仕掛け、得点を上げたことは収穫」とも言った。
 一方の女子中国代表は復調しつつある。
 元イングランド セブンズ代表の英雄ベン・ゴリングスの指導を受け、パススタイルへのラグビーを模索した時期があった。しかし、その方向性は成績につながず。今シーズンになって同監督が去り、状況に変化が出た。シンプルにサイズとスピードを活かす本来のラグビースタイルへ転換。そのことが上昇を呼んでいる。
 アジアのライバルの復調は、サクラセブンズがレベルアップするための良き機会だ。
 10月6日から7日にかけて岩手国体が開催されるためチームは一度解散し、10月10日よりスリランカ大会(10月15日−16日)に向けて再始動する。来年のコアチーム昇格戦に弾みをつけるためにも、同大会で中国を倒してアジアシリーズチャンピオンになっておきたい。コアチーム昇格戦でもライバルとなるその相手から、自分たちのラグビーで勝利を得ることが目下の目標だ。
(文/南 大庸)