2009年9月からホームで42戦無敗だったニュージーランド代表(オールブラックス)の記録を、世界ランキング7位のアルゼンチン代表(ロス・プーマス)が止めるかと思われた。9月10日にハミルトンのFMGスタジアムワイカトでおこなわれた南半球4か国対抗戦、ザ・ラグビーチャンピオンシップの第3節。
アルゼンチンは前半2分にWTBサンティアゴ・コルデーロのトライで先制し、50数分経っても2点差の大接戦を演じた。が、終盤は地力に勝るオールブラックスのトライラッシュとなり、結局、57−22でニュージーランド国民が喜ぶ結果となった。
ワールドカップ王者のニュージーランドはこれでテストマッチ14連勝となり、国内での連勝記録も43に伸ばした。
一方のアルゼンチンは、オールブラックスから初勝利を得ることはできなかったが、第2節の南アフリカ代表戦勝利に続く健闘で、2019年ワールドカップへ向けて着実にレベルアップしていることを印象づけた。
エキサイティングなゲームとなったこの試合、7点を追うニュージーランドは前半10分、ゴール前スクラムからの攻撃でSHの後方近くにいたWTBジュリアン・サヴェアが防御網を破り、同点につながるトライを挙げた。
その後、アルゼンチンにPGで得点を重ねられたが、23分、WTBサヴェアのゲイン後、素早いリサイクルから右へ展開し、FBベン・スミスが抜けてトライ。キック成功で逆転した。
しかし、前半のボール支配率はアルゼンチンが上回り、南米の雄は魂のこもったディフェンスでもオールブラックスと互角に渡り合った。
だが、ニュージーランドは35分、FBスミスが絶妙なグラバーキックでディフェンス裏に出し、バウンドボールを確保したSOボーデン・バレットがゴールへ持ち込み、24−16となった。
アルゼンチンは前半終了前と49分(後半9分)にSOニコラス・サンチェスがPGを決め、24−22と食らいついたが、健闘はここまで。
53分からはオールブラックスが得意の攻撃力を発揮する。敵陣22メートルライン内で切り込んだSOバレットがオフロードでCTBライアン・クロッティにつなぎ、後半最初のトライが生まれると、56分にはFW・BK一体となった連続攻撃でゴールに迫り、PRチャーリー・ファウムイナがインゴールに突っ込んだ。63分にはゴール前スクラムから8−9−12できっちり得点。66分にはFBスミスがハーフウェイ付近から抜け出して軽快なフットワークで相手を翻弄し、ゴールへ。76分にはキックパスを使ってLOルーク・ロマノがチーム8トライ目を挙げ、この試合をスタジアムで観戦したブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(2017年にNZ遠征をおこなう)のウォーレン・ガットランド ヘッドコーチにも強さを見せつける結果となった。
ザ・ラグビーチャンピオンシップ2016でニュージーランド代表は3勝0敗(勝点15)で首位。アルゼンチン代表は1勝2敗(勝点5)となった。
もう1試合はオーストラリアのブリスベン(サンコープスタジアム)でおこなわれ、オーストラリア代表が南アフリカ代表を23−17で下している。昨年のワールドカップ決勝以来、6連敗だったオーストラリアだが、ようやく今季初勝利で暗いトンネルを抜け出した。
今大会、ともに1勝2敗で、オーストラリアは勝点4、南アはボーナスポイントを得ているため勝点6となっている。
南アのSOエルトン・ヤンチースを突破しようとするオーストラリアのLOローリー・アーノルド
(Photo: Getty Images)