ラグビーリパブリック

「17−0」の反省から。サントリーがホンダに快勝!

2016.09.04
ホンダ戦でプレーメイクするサントリーのSH流大(撮影:松本かおり)
<ジャパンラグビートップリーグ 2016−17 第2節>
サントリー 50−0 ホンダ
(2016年9月3日/東京・秩父宮ラグビー場)
 サントリーのSH流大新主将が、持ち味を活かしたかに映った。
 前半8分頃、敵陣22メートル線付近中央でCTB松島幸太朗が小刻みな走りで防御を引きつけるや、SH流主将は、左中間へ駆け出しつつ前へキックする。虚を突かれたホンダ陣営は、弾道を追うサントリーの選手を妨害。反則を犯す。
 SH流主将は続く30分にも、敵陣10メートル線付近右のラインアウトから中央へ展開するや、相手のカバーが薄そうだった右へキック。球は弾み、22メートル線を越えた。
 陣取り合戦の要素を含むフットボールにあって、密集脇から広いスペースを見抜く、真骨頂の表れか。
 本人の実感は、違った。
 他に相手の脅威となる選択肢があったのではと、社会人2年目の若きSH流主将は振り返った。
 
 2010年度からの3季で5タイトル獲得も前年度9位に終わったサントリーは、壁をこじ開けるアンサンブルを目指す。再昇格から2年目のホンダを圧倒も17−0で終えた前半の中身を、問題視したようだ。
 相手と間合いを保ったCTB中村亮土らが外側のスペースを破った先で、ホンダ守備網の束に囲まれた。司令塔のSO小野晃征は、自分のタクトを振った先で味方が「タックルされる」ことを反省した。
 仕切り直しの後半。SH流主将はまず、自らの周りへ受け手を走らせるよう要求した、キックより、味方を勢いづけるパスで前へ出るイメージか。相手に杭を打つ。優勢だったのは前半と同じだが、得られる果実が変わった。
 先方の心を折ったのは、スコアを31−0と伸ばした14分の攻撃か。
 せっかくホンダが自陣での攻守逆転から敵陣まで攻め上がったところ、サントリーのPR畠山健介がインターセプト。勢いに乗った側が攻め直し、グラウンド中央でSO小野が対面を引きつけながら右にゴールラインとほぼ平行なパスを放つ。FB塚本健太がスピードに乗ったままでボールをもらい、陣地を挽回した頃にはSH流が援護に走り、そのままインゴールを割った。
 直後のゴールを決めた日本代表のSO小野は、自らのプレーとこの日のクラブの軌道修正をこう明かす。
「ボールキャリー(パスの受け手)が強く前に出られるよう、自分のアライメント(立ち位置)を浅くした(密集に近づいた)。ディフェンスを後ろへ下げる。それが後半にできた」
 21分になると、SHに日本代表経験者の日和佐篤が入る。密集脇からの攻めはさらに加速。SH流主将は「後半に気づいたことをもっと早い時間帯で気づいていれば」と、開幕2連勝から課題を抽出した。
 かたやホンダは開幕2連敗を喫す。
 密集で頑張っても攻めに転じられぬなか、7人制日本代表のWTBレメキ ロマノ ラヴァは「ボールを捕った後、慌て過ぎ」と天を仰ぐ。
 会見中、事前に用意した勝利への脚本を問われた藤本知明ヘッドコーチは、ただただ白旗をあげる。
「敵陣30〜40メートルに入ってからの点を取るプランはありましたが、その状況が来なかった」
 スタイルへのこだわりと勝利への狂気の差は、時に残酷な現実を示す。
(文:向 風見也)
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