山下真司(写真右から)とヒーローを熱唱した麻倉未稀。(撮影/松本かおり)
ドラマの中のヒーローの声を聞くと、いろんな名シーンが頭によみがえった。
ジャパンを引っ張る小柄なヒーローは、この日も熱かった。
そして『ヒーロー』を歌う実力派シンガーの歌唱力は変わらず圧倒的!
8月27日、東京・渋谷で『ラグビーマガジン×スクール☆ウォーズ スペシャルトークライブ 〜信は力なり〜』が開催された。これは『スクール☆ウォーズ Blu-ray BOX』(発売元:TBS/販売元:キングレコード )の発売を記念するもので、会場にはドラマ中で滝沢賢治役を務めた山下真司と、ドラマのモデルである伏見工業高校出身の日本代表、ハイランダーズ、パナソニックで活躍する田中史朗、そしてドラマの主題歌『ヒーロー』を歌った麻倉未稀が駆けつけた。
1980年代後半から1990年代にかけて、ラグビーマガジン別冊付録の『花園ガイド』にある選手たちの「ラグビーを始めたきっかけ」の欄には、「スクールウォーズを見て」がずらりと並んでいた。『スクール☆ウォーズ 泣き虫先生の7年戦争』は1984年10月から翌年4月にTBS系で放送されたドラマ。山下が演じた高校教師、滝沢賢治が荒れた高校のラグビー部を鍛え、全国大会優勝に導くストーリーだ。
これは京都・伏見工業高校ラグビー部で実際に起こったことを綴った『落ちこぼれ軍団の奇跡』(馬場信浩著)を題材にしたドラマで、伏見工ラグビー部を強豪チームへと牽引した山口良治監督をモデルにした滝沢先生と生徒たちの深い関係、愛のこもったメッセージを散りばめた内容が多くの人々の琴線に触れた。
イベントは第1部、第2部に分けて開催され、1部では田中史朗がラグビートークを展開し、2部にはスペシャルゲストとして山下真司が登場し、田中とスクール☆ウォーズに関する話、裏話を披露した。そして麻倉未稀が登場。ど迫力のパフォーマンスで来場者を惹きつけた。
1部では「日本ラグビーのあり方」について熱いトークを語り、ラグビーファミリーの全員が結束するする必要性を訴えた田中。自身も見ていたドラマの主役と共演する2部では、『滝沢先生』を目の前にして笑い、想い出を話した。
ドラマの主役を演じる中でラグビースピリットを学んでいった山下。その役柄のインパクトは強烈で、それが急速に世に広まったため、自身を律する生活を送ったという。オフの時間に出掛けるときもきちんとした格好をし、振る舞いも紳士的に。
「ドラマを見てラグビーを始めた人も多かった。滝沢賢治としてだけでなく山下真司としても責任を感じました。夜遊びもやめました」
ユーモアをまじえたトークに駆けつけたファンは楽しい時間を過ごした。
中学時代に初めてドラマを見た田中は、高校入学後に接した山口先生の存在感を話した。当時は総監督として部に関わっていたたため、触れ合う機会はそう多くなかったが、「信は力なり」の精神はしっかりとクラブに根付いていたと証言。自分はドラマの中のどの役が合っているかという質問には、「滝沢先生役をやりたいところですが、やはりイソップでしょうか」。部の中でいちばんひ弱な存在の名を出して笑わせた。
「ドラマの中でいちばん印象に残っているのは『お前ら負けて悔しくないのか!』のシーンです」と田中は言った。相模一高校に0対109で敗れた川浜高校。そんな大敗を喫しながらもヘラヘラしている部員たちの態度に滝沢先生が怒り、語りかけると、やがて部員たちが「悔しいです!」と心の叫びを吐露するシーンだ。
山下は、そのシーンの撮影時の裏話も明かした。100カット以上もある大事なシーンで、自分は朝から気合いが入っていたのに、周囲は「食事してからにしましょうよ」と肩透かしを食ったことを話し、「だからいちばん悔しかったのは僕なんだよ」とおどけた。撮影は冬場で、川の中で生徒と格闘するシーンなどが大変だったこと、あの川は多摩川など、すぐにでも映像を見て確認したくなる情報が次々と披露され、トークタイムはあっという間に時間が経った。
また山下は昨年のワールドカップでの日本代表の活躍、リオ五輪でのセブンズ代表の躍進に感動したと言い、「僕らがドラマで植えた苗が大きくなって花を咲かせたような気がしました。(日本ラグビーの活躍に)涙が出ました」と話した。イベントの最後には麻倉が迫力のステージで『ヒーロー』を熱唱し、最前列でその模様を見たた田中は「鳥肌が立ちました」と感激。歌った本人も、ドラマの主役と現日本代表のヒーローとの共演をリラックスして楽しんでいる感じだった。
なお『Blu-ray BOX』は、9月7日から発売される。通常版が3万3600円で、大木大助の背番号「8」をプリントしたジャージーが付く豪華版は4万2000円だ(ともに税抜き)。