宗像サニックスブルースの藤井雄一郎監督(右)と副将のカーン・ヘスケス
リオ五輪の興奮をもう一度味わいたい方は、宗像サニックスブルースの試合を観に行くといいかもしれない。藤井雄一郎監督は2016−2017トップリーグ開幕前のプレスカンファレンスでこんなことを言った。
「セブンズとはいえ、日本がオールブラックスに勝った。実はあの試合、僕は生で観てなかったんです。『まさかオールブラックスに勝つことはないやろ』と、僕の気持ちのなかにあったと思う。それが本当に勝ってしまった。なんでみんなが盛り上がったかというと、ジャイアントキリング、番狂わせをやってのけたから。ウチは最下位(今季トップリーグで唯一、下部からの昇格チーム)なので、すべての対戦チームが番狂わせの対象になる。もしアップセットを観たかったら、ウチの試合を観に来ていただければと思う。ぜひ、盛り上げられるように全力で頑張ります」
会見に同席したカーン・ヘスケスにも自信がみなぎっていた。昨年おこなわれたワールドカップの南アフリカ代表戦で劇的な逆転トライを決め、日本代表に歴史的な大金星をもたらした英雄。WTBヘスケスはサニックスで7年目となる今季、副将に就任した。トップキュウシュウ、トップチャレンジ、入替戦を制して2年ぶりに日本最高峰リーグに復帰し、再び番狂わせを狙う。
「トップリーグでのプレーを楽しみにしている。ハードなトレーニングを積んで、しっかり準備してきました」
サニックスはアタックを得意とするチームだが、ここ数年はセットピースとディフェンスの強化にも力を入れてきた。昨季トップチャレンジではスクラムの成長ぶりを発揮し、NTTドコモとの入替戦はディフェンスが勝因となった。
「一度7位になったときに(2009年度)、これ以上は無理やろなと思ったんです。精いっぱいやって、7位だった。これより上に行くには、セットプレーとディフェンスの強化がなければ、その先には進めないなと。で、いろいろ試行錯誤しながら、降格もしたりしながら、それなりの成果は出てきたかなと思う。今年はスクラムのコーチも呼んで、ディフェンスのコーチも呼んで、かなり時間を割いて力を入れてきた。そこを対等に戦えれば、行けるところまで行けると思っています」(藤井監督)
今季のチームスローガンは『ZONE(ゾーン)』だ。これまで経験したことがないほど厳しい練習で、ブルースが到達したZONE。2016年シーズン、どんな強敵が来ても、ブルースのZONEへ相手を引き込んで、逃がさず、打ち破る、という思いがこもっている。
指揮官は注目選手のひとりに、東芝から移籍してきたPR石澤輝を挙げた。法政大出身で、U20日本代表の経歴を持つ25歳。
「彼は東芝で5回遅刻をしてクビになったそうですが、ウチで5回遅刻したくらいでクビになったら誰もいなくなる(笑)。彼は本当にスクラムは強いですし、足が速い。セットプレーの安定は彼なしでは考えられない」
バックスでは新外国人のユーティリティBKジェイミージェリー・タウランギへの評価が高い。スーパーラグビーのレッズでプレー経験があり、チームでは“ジェイジェイ”と呼ばれる23歳。
「彼はパスのスキルがすごく高い。カーン・ヘスケスとのコンビでいけば、いいんじゃないかなという期待をしている」
石澤、ジェイジェイとも、開幕戦はスターティングメンバーに名を連ねた。
アップセットを狙う宗像サニックスブルースのトップリーグ復帰第1戦は、8月27日にパロマ瑞穂ラグビー場でHonda HEATに挑戦だ。
藤井監督が期待する新加入のPR石澤輝
新外国人の“ジェイジェイ”ことジェイミージェリー・タウランギ