NZ戦で左足首を負傷し、動けなくなったオーストラリアのマット・ギタウ
(Photo: Getty Images)
南半球の強豪4か国が競うザ・ラグビーチャンピオンシップが20日に開幕し、ニュージーランド代表に8−42と惨敗したオーストラリア代表だが、その試合に先発し前半早々に負傷交代したCTBマット・ギタウが、左足首の骨折で離脱することが同国ラグビー協会から発表された。
トゥーロン(フランス)に所属し年俸約1億2000万円といわれるギタウは、『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙によれば、同クラブのオーナーであるムラド・ブジェラル会長にフランスリーグと同時期に開幕するラグビーチャンピオンシップへの参加を反対され、オーストラリア代表として活動する約2か月間の給料(約2000万円という噂もある)は払わないと言われたと報じられているが、ギタウはトゥーロンのチームメイトであるドリュー・ミッチェルとともに帰国して、ワラビーズ(オーストラリア代表)でプレーすることを選んだ。
2011年ワールドカップのメンバーから落選し、失意のなかフランスに渡ったギタウだが、ヨーロッパで全盛期に近いパフォーマンスを取り戻し、昨年、オーストラリア代表に復帰してワールドカップ英国大会の準優勝に貢献。ワラビーズへの思いは強く、今回は「one last crack(最後の挑戦)」と語り、ゴールドジャージーの12番を着ていた。
身長178センチ、体重85キロと小柄だが偉大なプレーメーカーであるギタウは、帰国したばかりのとき、地元メディアのインタビューで「人生は一度きり。もし私がフランスにとどまっていたら、おそらく後悔したと思う。ここに戻ってきて、少なくとも私は後悔していない。私にとっては、オーストラリア代表でプレーすることはとても重要なこと。人生において、こんな機会は多くは与えられない。私にとっては特別なんです」と答えていた。
来月、34歳の誕生日を迎える。自分にとって最後になるかもしれないと思って臨んだ昨年のワールドカップでは、6試合に先発したが、決勝では脳しんとうを起こして25分間しかプレーできず、苦い思いをしていた。今年6月にオーストラリア代表がイングランド代表に3戦全敗したテストシリーズをテレビで観ていて、自分もチームに加わりたかったという。そして、マイケル・チェイカ ヘッドコーチの熱望に応えてラグビーチャンピオンシップのスコッドに入り、奮闘を誓った初戦でのアクシデントだった。
8月20日のニュージーランド戦は左足首の負傷でわずか8分間の出場に終わった。103キャップ目となったその試合が、もしかしたら、ギタウにとってワラビーズでのラストゲームになったかもしれない。