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「学生トップリーガー」誕生へ 山沢拓也、パナソニックワイルドナイツ加入!

2016.08.10
大学生ながら日本最高峰のトップリーグでプレーする道を選んだ山沢拓也
 (撮影:?塩隆)
 8月10日、パナソニックワイルドナイツは、SO山沢拓也(筑波大4年)がチームに加入したと発表した。日本協会では男子選手は複数登録が認められていないため、大学ラグビーでの出場はできなくなる。山沢は大学に通いながら、トップリーグ出場を目指す初めてのケースとなる。
 パスよし、ランよし、判断よし。山沢は深谷高校3年時から、エディー・ジョーンズ日本代表前ヘッドコーチがその才能にほれ込んでいた逸材だ。結果的にケガで代表チームに招集されることはなかったが、ジョーンズ氏は7月の来日時にも「ケガさえなければ、彼を(昨秋の)日本代表に選んでました」と語っていた。
 実際、これまではケガとの戦いでもあった。2014年、大学1年時に参加したジュニア・ジャパンの遠征で左膝靭帯を断裂。筑波大2年時の一昨年12月中旬には、練習中に再び同じ箇所に大ケガを負う。そのリハビリに場所を提供したのが、出身地に近いパナソニックだった。
「山沢本人が熊谷出身ということもあり、大きなケガをしたとき“うちでリハビリをしたい”というお願いがありました。それで施設を使っているうちに、“パナソニックでプレーしたい”と希望があった。個人の願いはかなえてあげたいけれど、ラグビーはチームスポーツ。筑波大、パナソニックの事情もある。お互い時間をかけて話し合って、最終的に本人の希望をかなえてあげようと、今回の決定に至りました」(飯島均部長)
 トップリーグに出場するには、以下のいずれかの条件が必要だ。?社員もしくは契約社員である。?業務委託契約を結んでいる。本人は筑波大学に在学中だが、パナソニックと業務委託契約を結ぶことで出場が可能となった。
「数年前、我々は堀江翔太や田中史朗を日本選手権に出さずにスーパーラグビーに送りだした。明らかにチームにとっては痛手だったわけですが、結果的に現在、日本人選手がスーパーラグビーで活躍する端緒となったと思っています。今回も、筑波大学から山沢という大きな戦力がいなくなるわけですが、部長や監督が、将来の日本ラグビーのためという大きな目標を持って彼を送り出してくれた。大学側の決断あってのことです」(飯島部長)
 山沢も「ケガでラグビーができない時期が長くて、その期間を埋めるために、少しでもレベルの高いところに身を置きたかった。リハビリをやらせてもらっているうちに、パナソニックでプレーしたいと思うようになりました。大学の仲間ともう一緒に出られないのは辛いですが、送りだしてくれた古川(拓生)監督や皆に心から感謝しています」と話す。
 パナソニックは8月14日に菅平で帝京大との練習試合が予定されている。早ければその場所が「パナソニック 山沢拓也」の記念すべき初陣となる。
(文:森本優子)

パナソニックワイルドナイツのTシャツを着た山沢拓也(撮影:?塩隆)
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