オリンピックのゴールドメダリストとなった女子セブンズオーストラリア代表
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オリンピックの正式競技として初めて実施された女子7人制ラグビー(セブンズ)で、金メダルに輝いたのはオーストラリアだった。リオデジャネイロのデオドロスタジアムで現地時間8日、最終順位決定戦がおこなわれ、オーストラリアは決勝でニュージーランドを24−17で破り、歓喜の抱擁となった。
オーストラリアは2015−2016シーズンのワールドラグビー女子セブンズシリーズで前女王のニュージーランドに一度も負けず(3勝0敗)、初めて総合チャンピオンになっており、その強さはオリンピックでも発揮された。
準決勝ではカナダと対戦し、シャーロット・カズリックの落ち着いたプレーメイキングと、エマ・トネガト&エミリー・チェリーのコンビネーションがうまく機能して3連続トライを奪い、17−5で勝利。
一方のニュージーランドはイギリスと決勝進出を争い、女子セブンズ界で最高のフィニッシャーといわれるポーシャ・ウッドマンがハットトリックを決めるなどし、25−7で勝ち上がった。
迎えた決勝戦。隣国のライバル対決。
先制したのはニュージーランドだった。前半4分、相手のラインアウト失敗から敵陣深くでのチャンスとなり、ウッドマンと並んで最強のラインブレイカーと称されるカイラ・マカリスターがスコアラーとなった。
しかし、オーストラリアは7分過ぎにトネガトがゴール右隅に飛び込み、トライが認められ同点に追いつく。
そして前半終了前、ニュージーランドにとって痛いプレーが起きた。押し気味だったオーストラリアの攻撃を止めようとしたウッドマンが故意の反則を犯し、イエローカードで2分間の退出を命じられたのだ。
数的有利となったオーストラリアは直後、アリーシア・クワークが相手選手を引きつけて左へロングパスを放り、エヴァニア・ペリティがトライを決め、勝ち越した。
10−5として主導権を握ったオーストラリアは後半2分過ぎ、カズリック、チェリー、エリア・グリーンとつなぎ、追加点。5分にはディフェンスでプレッシャーをかけてゴール前でペナルティをもらい、この好機を確実にものにした。24−5、19点差。
残り2分を切ってからニュージーランドのマカリスターが穴をこじ開け、14点差にしたものの、オーストラリアの守りは堅かった。
フルタイムを報せるサイレンが鳴ったあと、黒衣のポーシャ・ウッドマンが全6試合でのスコアとなる自身10トライ目を挙げたが、時すでに遅し。
昨年のワールドラグビー年間最優秀女子セブンズ選手賞を受賞し、今大会でもMVP級の活躍をしたウッドマンだが、決勝で自分がシンビンとなり、グラウンドに戻ったあともミスが出て、負けた責任を感じたのか、最後にむなしいトライを決めた直後、泣き崩れていた。
なお、銅メダルを獲得したのはカナダ。3位決定戦でイギリスを33−10で下し、ハッピーエンドとなった。カナダはワールドシリーズの得点王であるジスレーン・ランドリーが2トライを挙げ、チームはディフェンスプレッシャーやブレイクダウンの攻防も激しかった。この試合の敗者にも悔いを残したヒロインがいて、イギリスはキャプテンのエミリー・スカーラットがイエローカードで退出したのが痛かった。
最後のトライ直後、泣き崩れたポーシャ・ウッドマン(左下)と慰める仲間たち
(Photo: Getty Images)
銅メダル獲得で喜ぶカナダの選手と、敗れたイギリスの選手(Photo: Getty Images)