ラグビーリパブリック

ワラターズに完敗。「言い訳しない」サンウルブズの問題とは。

2016.07.02
ワラターズ戦でディフェンス突破を狙うサンウルブズのHO木津武士(撮影:松本かおり)
<スーパーラグビー2016 第15節>
サンウルブズ 12−57 ワラターズ
(7月2日/東京・秩父宮ラグビー場)
 強豪の大勝にも、挑戦者の足踏みにも映った。日本のサンウルブズは、初参戦シーズンの2勝目を逃した。
 一昨季王者のワラターズも、最高気温35度、湿度59パーセントというアジアの天候には苦しんだろう。
 序盤からエリア不問で攻めるサンウルブズを前に、守備列組成を遅らせた。好機を得てもミスを犯した。
 
 先制したのは、その、ワラターズだった。
 前半7分頃、サンウルブズが敵陣22メートルエリア右のラインアウトからボールキープする。
 ゴールポストからほぼ正面の位置で密集を作ると、SH茂野海人が目の前のスペースへ駆ける。
 隣に味方のLO小瀧尚弘がいるのを確認し、2人のタックラーを背負いつつ片手で楕円球を放る。
 つなげられず、ノックオンとなった。
 投げた側が「自分の軽いプレーが出た」と悔やんだのは後の祭りだった。以後はサンウルブズの反則と相まって陣地を挽回したワラターズが、自陣10メートル線付近左のラインアウトから展開する。
 WTBタンゲレ・ナイヤラボロ、CTBロブ・ホーンが短いパス交換ですぐに敵陣ゴールへ直進。SHマット・ルーカスのトライなどを促し、7−0とした。
 跳ねるホームチームと後手を踏むワラターズという構図なら、まだ続いた。24分にはWTBナイヤラボロの一時退場と勝ち越しペナルティゴールが重なり、サンウルブズが9−7とリードした。
 しかし、自陣22メートル線上中央でSOバーナード・フォーリーに2人がかりのタックルを仕掛けた27分、すぐ右の区画で、やられる。
 次の攻撃ラインに入ったCTBイズラエル・フォラウが出された球を掌で大外へ弾く。意表を突いた技にWTB笹倉康誉が「反応が遅れた」ところ、FLジャック・デンプシーのトライが決まった。14−9。
 ここからワラターズは彼我の特徴を鑑みてか、モール、FW同士での短いパス交換を多用。後半9分までに、40−12とほぼ勝負をつけた。
 今季8勝目を挙げたFLマイケル・フーパー主将は、こう語った。
「分析で知っていることを活かし、前半の終盤からすべきことをした」
 敗者は、戦前から抱える構造的な問題にも泣いた。「言い訳はしない」というマーク・ハメット ヘッドコーチも、「選手層は底を突いている」。
 2月からの連戦で大量の怪我人が出て、後半6分登場のPR稲垣啓太も、6月の代表戦での疲れから本来は「ほぼ出ない」はずだった。
 この日活躍も頭を強く打ったCTB立川理道ゲーム主将は、ボスいわく「将来のため」に前半で退いた。
 主力の外国人勢は6月の休息期間に実戦から離れており、田邉淳アシスタントコーチは「(戦法の)落とし込みの時間は足りなかった」という。
 逸機を重ねた前半は、相手のFLフーパー主将に「各々がキャラクターを取り戻す前」と看破された。
「スケジュールがタフ。そこで選手、協会の意見をすり合わせながら、よくできることはたくさんある」
 CTB立川ゲーム主将が脳を揺らしつつこう語るチームは、その日のうちに南アフリカ遠征に発つ。
(文:向 風見也)
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