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サンウルブズ、序盤はスタイル示すも…。今季ホーム最終戦でワラターズに大敗。

2016.07.02
ワラターズは9トライ。修正能力の高さを見せつけた。(撮影/松本かおり)

 日本のチームが勝つ条件としては悪くなかった。太陽が照りつけた7月2日の秩父宮ラグビー場。多くのファンも駆けつけ(観衆=1万8147)、スクラムのたびに多くの人がアウォ〜ンと狼の遠吠えを叫んだ。
 スーパーラグビーのラウンド15。サンウルブズの今季のホーム最終戦は、オーストラリアグループのトップをブランビーズと争うワラターズが相手だった。危険なアタッカーを多く並べ、キックオフ直後から積極的に攻め立てた水色のジャージー。しかしホームの大声援を受けて狼たちも食らいついた。試合開始直後の猛攻を止め、NO8エドワード・カークの絡みでボールを取り返してからは、しばらくワラターズ陣に攻め込んだ。

 先制点は前半10分。ワラタ−ズはラインアウトからWTBタンゲレ・ナイヤラヴォロがラインブレイク。サポートしたCTBロブ・ホーンがロングゲインし、SHマット・ルーカスがゴールポスト横に飛び込んだ。しかしサンウルブズは、今季最後のホームで勝ちたい気持ちを前面に出し続けた。
 前半20分、SO田村優がPGを決めて3点を返し、その直後にはCTB立川理道がタックルと同時に相手ボールをもぎ取り、相手の反則を誘う。FBリアン・フィルヨーンが60m近いPGを決めて1点差に詰め寄った(6-7)。さらに25分には自陣から思い切ってオープンに攻め、相手のファウルプレーからSO田村のPGで9-7と逆転した。
 27分過ぎ、ワラターズはCTBイズラエル・フォラウのタップパスを受けたFLジャック・デンプシーがタテに防御を切り裂いてインゴールへ跳び込み14-9とスコアをひっくり返すも(SOバーナード・フォーリーのコンバージョンも成功)、サンウルブズの闘志は衰えなかった。31分にはSO田村のPGで加点(12-14)。スタジアムは沸いた。

 しかし、大事な大事な時間帯の集中力が明暗を分けた。
 前半35分、ワラターズはラインアウトから攻めたボールはパスが乱れるも、転がったボールを拾ったCTBフォラウが快走を見せて50mを走り切る(SOフォーリーのコンバージョンも決まり21-12)。39分にはスクラムで得たPKからラインアウト、モールを押し込んで右に展開。FBアンドリュー・ケラウェイがタックルを弾き飛ばして左中間に飛び込んだ。
 12-26でハーフタイムへ入った試合は、後半の立ち上がりで勝負が決した。ワラターズは後半4分過ぎ、PK後のラインアウトからモールを押し込み、ゴールに迫る。左へ展開。WTBリース・ロビンソンがインゴール左隅にボールを置く(コンバージョンも決まり33-12)。その直後にはHOタタフ・ポロタナウのラインブレイクからつなぎ、ふたたびロビンソンがトライ。 コンバージョンが決まり、スコアは40-12と開いた。勝者はさらに3トライを重ね、主力を次々とベンチに下げる展開。修正力の高さを見せつけて57-12と大勝した。

 試合後サンウルブズのマーク・ハメット ヘッドコーチは、「いい出だしでワラターズにプレッシャーをかけられたが…」と話した。
「相手のオフロードを止めようと話したが、それに対してディフェンスでオーバーコミットして人数が足りなくなった。そして、翻弄された」
 ゲームキャプテンを務めた立川主将は、完敗は認めながらも「ボールを動かせたときにはいけた。アタックには手応えがあった」と話した。しかし、勝利を追求するチームのリーダーとして「ディフェンスは個人のタックルミスで崩されたのではないが…もっともっと反省しなければ」と次の試合に目を向けた。
「残り2試合、このメンバーでできるのはそれが最後。タフなツアーとなるだろうが、しっかり戦いたい」
 最後はヘッドコーチが締めた。
「日本ではこれが最後の試合ですが、各週エンジョイできました。(準備期間が短いなど)忙しかったが充実していた。課題もたくさん出ましたが、ポジティブなところがあったと思う。33名の選手が、これまでに知らなかったスーパーラグビーを経験できたのは何より大きい」
 南アフリカで戦う2試合。ホームで果たせなかった思いを勝利につなげられるだろうか。

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