ラグビーリパブリック

vol.13 ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)

2016.06.23
昨季トップリーグのヤマハ戦で防御網を突破するラファエレ(撮影:Hiroaki.UENO)
【ソシセニ・トコキオ(豊田自動織機) → ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)】
「トコキオは私と同じ山梨学院大出身で、2つ後輩です。思い出はいっぱいありますけど、一番は、私が4年生のときの最後の試合となった入替戦。山梨学院が勝って1部に昇格したんです。うれしかったですね。トコキオはすごく優しい人で、彼とは兄弟みたいに仲がいい。実は2か月前に福岡に来たんです。トコキオの弟がサニックスワールドユースに参加するため来日していたので一緒に観に行きました。そのあとは福岡の街で食事をしたりして、私の家に泊まりました。連絡はLINEで毎週とってます」
「私の出身はニュージーランドになってるけど、サモアのアピアで生まれました。サモアにいたのは4歳までで、それから家族でニュージーランドのオークランドに移ったんです。アイランダーが多い地域、サウスオークランドで育ちました。ヘンドリック・ツイ(サントリー)やマレ・サウ(ヤマハ発動機)もサウスオークランド出身です」
「ラグビーを始めたのは6歳。きっかけは、お父さんやお父さんのブラザーとか周りの人が全員やっていたから。姉が3人いて、私は末っ子なんですけど、一番下のお姉さんも高校のときにラグビーをしていました。家族はいつも、私の試合を見に来てくれましたね。小さいときは、バレーボールやタッチフットなどいろんなスポーツをやりましたよ。でも高校に入ったら、お父さんから『1つのスポーツを選んで集中してやりなさい』と言われ、ラグビーを選びました。ラグビーの試合前、お父さんによく言われました。『ビビるくらいならラグビーをする意味はない。いますぐ家に帰れ』と。勇気を出しなさいと言われたことは、いまでも心に残っています」
「高校はデラセラカレッジという男子校に進学しました。メインスポーツはラグビーで、全校生徒の90%くらいはラグビーをやっています。結構強い学校で、2008年にニュージーで優勝しました。いい選手もたくさん出ていて、ヘンドリック・ツイは先輩です。高校のとき一緒にプレーすることはなかったけど、日本に来て、いまは友だちみたいな関係。ツイ選手と試合のグラウンドで会うときはよく話します」
「私が日本に来るきっかけになったのは、山梨学院のスカウトの人がニュージーランドで良い選手を探していて、それで声をかけてもらいました。ビックリしました。あの年は、4月くらいにワールドユースで日本に来てたんですけど、山梨学院の人がワールドユースでのプレーを見てくれていたのかどうかはわからない。でも大会後、ニュージーに帰ってプレーしていたらオファーが来て、ほんとにビックリ。日本に行くことをお父さんたちは反対しなかったです。自分で決断しなさいと言ってくれました」
「来日したとき、日本語はまったくしゃべれませんでした。食べ物とかは全然大丈夫でしたけど、日本語が話せないことがとても大変でした。だから一生懸命勉強した。周りの人も優しくて、山梨学院の先輩が日本語を教えてくれました。はじめに覚えた言葉のひとつは、『きつい』。みんなが練習でよく使ってたので(笑)」
「山梨学院の1年生のときから、自分のターゲットは、日本の社会人チームに入りたいということでした。だからコカ・コーラに誘ってもらったときはすごくうれしかったです。コカ・コーラに入って今年で3年目。いい友だちがいっぱいできたね。みんな優しい。チームメイトの仲がめっちゃいい。それはすごく好きですね。大事なこと。いい環境のなかでプレーをしたら楽しいラグビーができます。自分は練習のときはまじめにするけど、ラグビーが終わったら切り替えて楽しむようにしています。ずっとまじめにしたら疲れると思う。休みのときは、家でリラックスしたり、友だちや彼女と海に行ったりします。志賀島まで車で10分くらいなので、いいですよ」
「私はアタッキングラグビーが好きです。だからコカ・コーラのプレースタイルは自分に合っていると思います。今シーズンは、チームのために毎週いいプレーをすることが目標です。だから、いまハードに練習しています。子どものときはカーロス・スペンサーが好きだった。いま彼はサニックスのコーチなので、ビックリです。子どものときはいつかサモア代表でプレーしたいと思っていたので、2003年ワールドカップに出たサモア代表のSOアール・ヴァアも好きでしたね」
「自分が人生で大切にしていることは、ほかの人をリスペクトするということです。誰でも、何をやっている人でも。トップリーグで最もすごいなと思う選手のひとりは、マレ・サウです。スキルがすごくいい。ランもできるしパスもできる。同じサウスオークランド出身のマレ・サウがブルーズ(スーパーラグビー)でプレーしているのを見て、自分もやってみたいなという気持ちはあるけど、いまはコカ・コーラでいいプレーをすることしか考えていません。いいプレーができたら、そのあとに考えます」
「日本にはたくさんのアイランダーがいて、どこかでつながりがあります。コミュニケーションがとりやすいので、すぐ仲良くなります。紹介したい人はたくさんいますが、私からはジョージ・リサレにつなぎたいと思います。いいタックルをする選手で、流通経済大で活躍して、今年、NECに入って1年目です。すごくおもしろい人ですよ。私とバックグラウンドが一緒。サモア出身で、ニュージーに移って、日本に来た選手なので、がんばってほしいと思っています」
(取材:竹中 清)

【Player Profile】
ティモシー・ラファエレ Timothy LAFAELE
コカ・コーラレッドスパークス(SO)
身長186センチ、体重96キロ。1991年8月19日生まれ。
デラセラカレッジ → 山梨学院大 → コカ・コーラ

2013年度関東大学リーグ戦入替戦で拓殖大を下して1部昇格を決め、
喜ぶ山梨学院大(当時)のラファエレ(右から2人目)とトコキオ(撮影:松本かおり)