ラグビーリパブリック

ホンマ最高。チーフス山下裕史、ハカの感激を語る。

2016.06.16
仲間のトライを喜ぶ山下裕史。(写真 http://www.photosport.co.nz/)

 特別な時間だった。
「高まるものがあったというか、ホンマにいい経験になりました」
 6月14日、ホームグラウンドでハカを披露した日本人PRは感激していた。チーフス オリジナルのハカ『He piko, He taniwha』には『すべてにおいて最上であれ』という意味が込められていたそうだ。

 同日、ホームのFMGスタジアムワイカトでNZ遠征中のウエールズ代表とミッドウィークマッチを戦った。チーフスは、ウインドウマンス(国際交流期間)によるスーパーラグビー休止中におこなわれたビッグマッチに40-7と大勝、地元ファンを喜ばせた。この試合に先発したPR山下裕史(神戸製鋼/日本代表キャップ49)は後半途中まで出場。試合前には「ハカ」を演じた。

「(これまでの)テストマッチで、ハカは見るものでした。まさか(自分が)やることになるとは夢にも思っていませんでした」
 山下は試合の翌日、そう話した。ハカの練習には事前からチームで取り組んでいた。
「チーフスはチームにハカがあり、シーズン当初からTKB(SHタウェラ・カーバーロー)らの主導て定期的に練習していました」
 それは、2週間に1回ほどのペースで継続されてきたという。
「ウエールズ戦のメンバーが決まってからは、ヒカ・エリオット(HO)を中心にほぼ毎日、午前と午後のトレーニングの間に30分くらいハカの練習をしました。ワイカトスタジアムでのスーパーラグビーの試合前にハカを踊っているグループのリーダーの方がチームに来てくれて、『自分の家族を守るために戦う』というマオリのハカの意義などについて講義もしてくれた」
 ワイカト地域の代表として戦うのだ−−。選手たちの胸には、その誇りと責任が深く刻まれ、戦いに臨んだ。
 スーパーラグビーを制したなら、ふたたびチーフスのハカがファンの前で演じられる。山下は「そうなれば最高」と笑顔だった。

(文/西尾建)

この情熱の集団の中に山下もいた。(写真/Getty Images)

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