歓喜のRugirl-7。ベテランの踏ん張り、高校生たちの元気で勝利を呼んだ。(撮影/松本かおり)
意外に思う人もいるかもしれない。初優勝だ。Rugirl-7が太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2016東京大会を制した。
6月5日におこなわれたカップ(最上位/1〜4位)トーナメントの決勝で日本体育大学ラグビー部女子に24-19のスコアで勝ち、シリーズ初優勝だ。2014年の第1回大会、龍ヶ崎大会でのカップ準優勝をはじめこれまでに準Vは3度あるが、頂点は初めて。先頭に立ってチームを指導してきた村杉徐司コーチは、「(セブンズ)女子ラグビーのパイオニアとしてやってきた気持ちを示そう」と呼びかけてチームの気持ちを束ね、嬉しい結果を手にした。
セミファイナルは死闘だった。東京フェニックスに5-14とリードされる展開から踏ん張った。残り1分でトライを奪い5点差に迫り、ラストプレーで西村佳純がインゴール右スミに飛び込む。15-14とひっくり返した。そして、その勢いは大会の最後まで続く。ファイナルの開始直後から藤崎朱里主将らが迷いなく前に出て、前半4分の先制トライを呼んだ。
前半9分と後半立ち上がり、日体大にトライを許して5-14とリードを許したRugirl-7だったが、接点での強さがジワジワ効きはじめると、まずは個で勝負するスタイルが日体大自慢の防御を切り崩した。キックを受けたところから仕掛けた攻撃で攻めきって点差を詰め(2分/モロ−・モーガン)、逆転のトライはターンオーバーから(4分/西村)。17-14で迎えた7分には大会MVPに輝いた加藤あかりが快足を飛ばし、勝利を決定的なものにした。
今シリーズ3大会目で3チーム目の女王となったチームを率いた藤崎主将は、これまでの足どりを振り返って「長かった」と言った。
「うちにはステップが得意な選手もいれば、ランニングが速い選手はたくさんいる。だから自分がタテに出て相手を寄せれば、と思ってプレーしました」
決して日頃の練習環境に恵まれたチームではない。グラウンドでの練習は公共の施設を使って週2回の朝練をし、夜にジムに集まることが1回。チームのコミュニケーションを密にするのは簡単ではないが、シリーズに入って大会を重ね、時間をともにする時間が長くなり意思疎通が滑らかに、そして丁寧になった。ウエートトレを増やしたことと、チームに血が通ったことが絡み合って、ついに大きな果実を手にできた。
ジュニアチームも持ち、そこで育ててきた高校生たちが、この大会で大きな戦力となった。増保輝則監督は「これまで、惜しい試合を落とし続けてきたチームが大会を通じて精神的に成長してくれた。最後は任せ切れた」と話し、野生児と呼ばれるMVP加藤は「努力した甲斐があった」。誰の顔も笑顔だった。
加藤は、明日も東京駅にある大丸のお菓子売り場で店頭に立つ。沖縄出身のフィニッシャーは甘い香りの漂う中できっと今日のことを思い出し、いつも以上に愛想よく接客するだろう。
大会MVPに選ばれた加藤あかり。本能でプレーし、トライを重ねた。(撮影/松本かおり)