ラグビーリパブリック

親族と友人が「柔道家」に? サンウルブズのカーク、古巣レッズ戦に感慨。

2016.05.24
ジャパンスタイルでエドワード・カークとサンウルブズを応援する豪州の人たち
(Photo: Getty Images)
 2016年5月21日、オーストラリアはブリスベンのサンコープスタジアム。ホームのレッズがサンウルブズを迎えた国際リーグのスーパーラグビー第13節の会場には、日の丸の描かれたハチマキをつけた現地のファンが80人いた。
 現地記者の報告によれば、「80名ほど」とのこと。彼らは柔道着もまとっており、黒帯の端には狼マークのロゴが入っていた。
 いずれも、エドワード・カークの応援に集まっていた。カークは昨季までレッズに在籍した24歳のバックローで、今季、日本から初参戦するサンウルブズへ加わっていた。試合前日にはブリスベンの日本領事館でのレセプションに呼ばれ、かつてのチームメイトと旧交を温めていた。
 この日のゲームは、カークにとって古巣との一戦であり、スーパーラグビー出場50試合目の節目でもあった。本人は言う。
「衣装はきょうだい達が準備してくれていました。自分が日本でプレーしていることを、皆、喜んでいる。応援歌も作って練習していたみたいです。あのなかに日本人は1人もいないのですが、熱いサポートをしてくれた。とても嬉しいです」
 キックオフ早々、相手の塊に身長191センチ、体重108キロの身体をねじ込んだ。「常に全力を出し切る」。点差、時間帯を問わず、球の奪えそうな密集へはどんどん仕掛けてゆく人だ。「いつも以上の激しさを出そうと思っていた」というこの日は反則を食らう瞬間もいくつかあったが、それ以上にレッズの攻撃を鈍らせた。
「速く、激しいプレーが自分の持ち味なので、毎回それを出そうとしています。ただ今日は…(より気持ちが入った)。レッズのメンバーとは17歳の頃から一緒にトレーニングをしている。特徴も熟知している。その意識をもとに、思い切り戦っただけです」
 NO8として先発フル出場も、結局、25−35で敗戦した。
 開幕前から「スーパーラグビーの一員となったからには、ただ参加するだけではいけない。我々はおふざけのチームではない」と語っていたカークは、「特別なゲームだったのは間違いないです」としつつ反省も忘れなかった。
「部分、部分で勢いがなくなったところがあります。我々はボールキープができれば危険なチームだということは、ご存知の通り。ただ、その危険な攻撃も時々では意味がなくて。チャンスを逃したところもありました」
 28日にある次の第14節は、休息前最後の一戦だ。キャンベラのGIOスタジアムでブランビーズとぶつかるにあたり、ブリスベン出身の明るい闘将はこう前を向く。
「毎回思うのは、サンウルブズのメンバー全員は100パーセント、出し切っている。そこの努力や意気込みを疑ったことは一度もありません。きょうの教訓を次につなげられると信じています」
(文:向 風見也)
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